外国人観光客の笑顔を引き出す、日本紹介のヒント

英語で日本紹介アイデアブック

全国通訳案内士(通訳ガイド)は、訪日客にどう日本を案内しているのでしょう。リピーター続出の人気ガイド、島崎秀定さんの実践に、コミュニケーションのヒントを探ります。


通訳ガイドならではの価値

全国通訳案内士の価値は、どこにあるでしょう。観光地の単なる説明は、パンフレットや施設のホームページを見ればできます。さまざまな労働がAIに変わろうとしている現代、観光地を案内するAI技術もどんどん進化していくでしょう。私は、通訳案内士にはそれ以上の価値があると思います。ここで紹介する内容は、分野を問わず外国人と接する皆さんにヒントにしていただけるものです。

その場所の「何が」面白いのかを伝える

外国人に観光地を説明するとき、皆さんはどのように伝えますか? 「皇居」を例に考えてみましょう。

宮内庁の英語サイトには、「1868年から皇居として使われている」とあります。それ以前の説明はなく、また天皇家の歴史についてもあまり言及はありません(サイト内をじっくり探せば、天皇家の家系図は見つかります)。この話を聞いて、あなたは興味を覚えますか? 相手に喜んでもらうには、単に現状を説明するのではなく、その背景にある日本文化や歴史を踏まえて、その場所の特徴や面白さを伝えましょう。

私が外国人に皇居を説明するとしたら、「かつてここは将軍の住む城であった」こと、そして「現在の天皇は126代であり、紀元前660年から2680年もずっと血筋が続いている」驚きを話します。すると多くの外国人は興味を持って聞いてくれます。

説明を聞いて楽しいと感じるのは、事実を知ったときではなく、その事実がなぜ面白いのか納得できたときです。「へ~!」と思ったことは記憶に残るものです。そんな説明ができたら、「あなたに案内してもらって、本当に良かった!」と言ってもらえるはずです。

会話のキャッチボールを

多くの外国人観光客は、日本に勉強をしに来ているのではなく、楽しみに来ています。日本人との会話も、旅の大きな楽しみの一つです。こちらが説明する立場であっても、それは一方通行ではありません。例えば、お城やお寺の説明をしていると、質問を受けることも多い一方、相手から「私の国では、こうなんだよ」と話してくれることもあります。この双方向のコミュニケーションが、旅の醍醐味ではないかと思うのです。

時には、答えに窮するような質問を受けることもありますが、「分かりません」と言うだけでは会話がストップしてしまいます。正確な内容が分からなくても、「こうだと聞いたことがある」「私はこう思う」と自分の考えを伝えてみてはいかがでしょうか。きっと会話が楽しく続くことでしょう。

日本人だからできること

ここ数年、外国人ガイドが観光地を案内する姿をよく目にするようになりました。言語力では、たとえ全国通訳案内士であっても彼らにはかないません。でも、日本で生まれ育ち、身を持って日本文化を体感している日本人からの臨場感ある説明は、外国人にはまねできない利点です。

「私はトランプ大統領が好きだ(あるいは、嫌いだ)。君は安倍首相をどう思う?」とよく聞かれます。私の回答はここでは控えますが(笑)、生活実感を込めてこういう会話ができるのは、やはり日本人ならではの価値ではないでしょうか。

これまでご紹介した視点で、日本文化や日本の観光地を案内する本『英語で日本紹介アイデアブック』を出版しました。今すぐ使えてウケる「鉄板ネタ」がありますので、ぜひご覧ください。新型コロナウィルスが収束すれば、また多くの外国人観光客が日本を訪れてくれることでしょう。そのときのために、今から準備をしませんか!


文: 島崎秀定 (全国通訳案内士)
イラスト: つぼいひろき

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