IT企業からDX企業へ。富士通グループのグローバル人材育成

富士通ラーニングメディア

デジタル技術の活用によって、新たな価値を生み出すDX企業へと転身を図る富士通。グループ全体の人材育成を担当する富士通ラーニングメディア、ナレッジサービス事業本部の石橋宏路さんに、これまでの取り組みや課題、展望などをお聞きしました。

株式会社富士通ラーニングメディア
1977年設立。国内最大規模の総合人材研修企業として、企業の人材育成のトータルソリューションを提供する。あらゆる業種の企業や公共機関・団体を対象に、「ITテクニカルスキル」から「ヒューマン・ビジネススキル」まで、オープンコースを約1,500コース、年間約96,000人の受講者に提供している。
https://www.fujitsu.com/jp/group/flm/


グローバル人材の育成には、ある程度の期間が必要

――富士通グループでは、グローバル人材育成の必要性が高まっていると伺いました。背景を教えてください。

石橋 富士通グループは世界各地に多くの拠点を持っており、これまでも数多くの海外のお客さまとビジネスを行ってきました。近年は国内外を問わずビジネスのグローバル化が加速しており、まさに富士通グループもこの流れに乗って、グローバル人材育成の必要性がよりいっそう高まっているという状況です。

SE、マーケティング、営業などさまざまな職種がありますが、どの職種でも、担当するプロジェクトによっては英語を使う場面が出てきます。例えばSEの場合、海外のグループ企業と連携しながら開発を進めることがあります。また、国内のお客さまに対応する場合でも、導入するシステムが海外のものだったり、開発メンバーに外国籍社員がいたりすると、当然英語を使うことになります。

もちろん、日本語だけで日々の業務が完結している社員もいます。ただし、その状況がずっと続くとは限りません。将来的にグローバルな仕事をする可能性は、どの社員にもあるのです。

――グローバル人材育成施策の基本方針を教えてください。

石橋 私たちが考えるグローバル人材とは「富士通グループの持つ価値を、グローバルな視点で高め、提供できる人材」のこと。大前提として、高い専門性や知識、リーダーシップなど、一般にビジネスパーソンに求められるスキルが必要です。そこに「グローバル基礎コンピテンシー」と「海外実務経験」が加わることで、グローバルに活躍できる人材になれると考えます。

グローバル基礎コンピテンシーには、多文化を理解して受け入れるマインドと、語学や論理的思考を含めたコミュニケーション力の両方が含まれます。これらは短期間で身に付けられるものでなく、育成にはある程度、長い時間が必要です。このため、入社1年目から4年目くらいまでの若年層を中心としたグローバル人材育成研修に力を入れているというわけです。

富士通ラーニングメディア

TOEIC600点取得者が参加できる、入社3年目の「グローバル基礎研修」

――若年層向けのグローバル人材育成スキームについて、具体的に教えてください。

石橋 まずは新入社員全員に対して、グローバルマインドを醸成する半日程度の講座を実施します。その後、入社1、2年目でTOEICスコアが600点未満の社員を対象に、eラーニングによるTOEICスコアアッププログラムを提供します。アルクさんの「ALC NetAcademy NEXT」を含め、レベル別に複数のプログラムを用意しています。

TOEIC600点以上を取得すると、入社3年目以降のグローバル研修を受けることができます。入社3年目の社員を対象とした「グローバル基礎研修」は、2日間の国内研修です。「マスへの一律な対応をやめ、個にフォーカスする」というコンセプトの下、TOEICのスコア別に受講者を3クラスに分けて行います。まずは半日で全員に共通したパートを受講し、その後、スコア別にカスタマイズしたパートを1日半で受講するという2部構成です。

さらに入社4、5年目には、選抜研修「GCDP研修(Global Competency Development Program)」にエントリーできます。ここでは、約3カ月にわたって行われる国内研修で英語力と異文化コミュニケーション力の両方を高め、最後に学びの実践として5日間の海外プログラムに参加します。富士通の海外拠点の他、近隣の企業や大学なども訪問し、海外の文化やビジネスを体感します。

――グローバル基礎研修は、2019年度から新たに導入されましたね。

石橋 はい。2018年までのフレームでは、入社3年目の社員に対する施策を特に行っていませんでした。3年目はビジネスの中で自分の専門性を高めてほしいという意図でしたが、その反面、「学びの空白期間」となってしまっていました。このような状況を改善するために、2019年度からグローバル基礎研修を導入したというわけです。

――クラス分けは、どのようにされていますか。

石橋 初級クラスに当たる「Awareness & Literacy」は、TOEIC600~695点の社員が対象です。英語による異文化コミュニケーションに対してポジティブなマインドを持ってもらうとともに、さらなる学習の必要性も感じてもらうことが狙いです。

中級クラスに当たる「English Camp」は、TOEIC700~825点の社員が対象です。大学と提携してさまざまな国籍の留学生に参加してもらい、彼らとのグループワークを通じて、異文化コミュニケーション力をより強化します。

上級クラスに当たる「Business Simulation」は、TOEIC830点以上の社員が対象です。具体的なビジネスシーンを想定したロールプレイを行い、現場で通用する英語を学ぶことにフォーカスしています。

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発話を促すグループワークで、自信と危機感の両方が得られる

――Awareness & Literacyでは、アルクが企画・運営のお手伝いをしています。アルクをパートナーにお選びいただいた理由は何でしょうか。

石橋 TOEIC600点台では英語を話すことに慣れていない人も多いため、まずは、つたない英語でも口にする体験をしてもらい、「自分も話せるんだ」と自信を持ってほしいと考えています。受講者を上手に促し、発話を引き出すことのできる講師が必要となるため、講師陣に信頼がおけるアルクさんにお願いしました。

また、Awareness & Literacyは3クラスの中で最も開催回数が多く、2019年度には1回につき30名程度のクラスを9回ほど実施しました。長年の実績があるアルクさんなら、高品質なレッスンを安定的に提供していただけるだろうと考えました。

――Awareness & Literacyのクラスは、具体的にどのように進められるのでしょうか。

石橋 アルクさんの若手・新入社員向け集合研修プログラム「グローバルマインドセット<シミュレーション編>」をベースに、私どもの希望を採り入れながらカスタマイズしていただきました。メインとなる外国人講師の他に、5、6名の外国人キャストが各グループに1名入り、アクティビティーやディスカッションを一緒に行います。

クラスはオールイングリッシュで行われ、異文化コミュニケーションやダイバーシティの基本的な概念、ローコンテクスト※における意思伝達のコツなどを、グループワークを通じて学びます。ほかに、富士通グループ内でヒアリングしてまとめた事例を基に、ケーススタディも行います。海外業務に携わっている社員には「ああ、分かる」と共感を得られますし、携わっていない社員には「こういうことがあるのか」と学びになっています。

※相手に確実に伝わるように話す、ロジックを重んじる、不明点は質問するなど、言葉できっちり確認し合うコミュニケーションスタイル。対義語は「ハイコンテクスト」で、文脈から聞き手と話し手の意図をくみ取るコミュニケーションスタイル。

ブラッシュアップを図りながら、現行のスキームを継続していきたい

――これまでの手応えはいかがですか。

石橋 研修の最後には、受講者全員にアクションプランを書いてもらいます。どの受講者も「研修で学んだこと・気付いたこと」「今後取り組みたいアクション」などをしっかりと書き込めるようになっており、研修を通じて気付きが得られていることがうかがえます。終了後のアンケートでは「理解度」「講師満足度」ともに高い評価を得ており、アルクさんにお願いして良かったと感じています。

――今後のグローバル人材育成施策における展望をお聞かせください。

石橋 グローバル基礎研修を導入したことで、入社1年目から4年目までの若手グローバル人材育成スキームがしっかりと整いました。今後は、このスキームをしっかりと回していきたいですね。定期的に効果測定も行いながら、内容についてはさらにブラッシュアップを図っていきたいと考えています。

富士通ラーニングメディア
株式会社富士通ラーニングメディア
ナレッジサービス事業本部 グローバルラーニングサービス部 プロジェクト課長
石橋宏路さん

2004年入社。ICT研修講師を経て、2011年よりグローバル人材育成施策の企画・運営に携わる。大学では教育関係を学び、大学院時代には1年間休学してカナダ、ニュージーランドに滞在。グローバル人材育成施策を通じて受講者の成長を目の当たりにできることにやりがいを感じている。

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取材・文: いしもとあやこ
写真: 横関一浩

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