国際大会は交流のチャンス。ほんの少しの気遣いでできる、おもてなし

ONE TEAM

「ONE TEAM」で盛り上がったラグビーワールドカップ2019日本大会。熊谷会場の3試合でボランティアとして活動した高橋留美子さんが、期間中の出来事から今後に応用できるヒントを教えてくれました。


その国の言葉でごあいさつ

熊谷ラグビー場では、ロシア対サモア、ジョージア対ウルグアイ、アルゼンチン対アメリカの試合が行われました。せめて「こんにちは」は各国言語でお声掛けできるように、事前に調べてロシア語(ズトラーストヴィチェ)、ジョージア語(ガーマルチョバ)、スペイン語(オラ)とメモに書いて準備しました。

ロシア語とジョージア語は難しく苦戦しましたが、皆さん自国の言葉で声掛けされると笑顔で返してくれました。例えば「スペイン語でこんにちは」とネット検索すると、発音まで分かるのでとても便利です。

ちなみに熊谷市内の小中学生は全員、いずれか1試合を観戦しました。学校では夏前から観戦するチームの国歌を給食の時間に放送し、会場で歌えるように練習したといいます。国歌斉唱の際、一緒に歌う子どもたちの姿に、両国の選手、観客の皆さんが喜んだというエピソードはニュースにもなりました。

流ちょうでなくても、海外で自国の言葉を聞くと心遣いを感じられてうれしくなるものです。

誰のためのご案内?

試合終了後、ベビーカーに乗ったお子さん連れの外国人ファミリーに、タクシー乗り場を尋ねられました。場所に加えて、事前に聞いていた「熊谷ラグビー場は郊外にあり駅や市の中心部からは少し距離があるため、あまり頻繁にタクシーが来ない」という情報を伝えると、”What do you recommend?”とお勧めの方法を質問されました。

他のボランティアの方とも相談して、ラグビー場→無料シャトルバスで熊谷駅→タクシーまたはホテルの無料シャトルバスでホテルへ、という経路を説明していたら、ユニフォーム姿の女性(立場は不明です)が「タクシー乗り場だけ案内すればいいんです!」と割り込んできました。

その後、猛烈な勢いで英語でタクシー乗り場を説明するので、私たちボランティアは引き下がりました。確かに彼女の言うことも理解はできますが、小さいお子さん連れでいつ来るか分からないタクシーを暗くなってきた屋外で待つのは苦行です。みんなで「相手の立場に立ったご案内をするべきだよね」と話していました。

せめてpleaseがあれば

東京都内にある店のレジで、お客さん(外国人)と店員さん(日本人)がモメている状況を目にしました。“What’s wrong with you?(どうかなさいましたか?)”と声を掛けると、どうやらお客さんの出した現金が支払い額に足りないようです。私たちが海外を旅する時も同様ですが、慣れないコインは金額が分りにくいものです。

お店の方は電卓をたたいて合計金額を私たちに見せて、知っている限りの英単語で何とか説明しようとしたのですが、ぶっきらぼうに”Pay more!”と言った瞬間、空気が凍り付きました。動詞のpay(支払う)が頭に来ると命令形になります。日本語に訳すと「もっと払え!」。お店の方がお客さんに強く出たことになるのです。

言われた方は立腹して「払えばいいんだろう!」とお金を投げつけるように置いて出て行きました 。せめてplease(お願いします)を付けてくれれば良かったのに。

大きなスーツケースを持っていたので、後ろから「エレベーターがあちらにありますよ!」と叫んだら「ありがとう!」と笑顔を見せてくれました。少しは気持ちが和らいだのではないかと、ホッとしました。

日本で感激したこと

最後に「日本はスゴイ」と観戦に訪れた外国人の方々が感動されたことを2つ、ご紹介します。

*落とした財布が戻ってきた! (海外では考えられないそうです)
*ホームに入ってきた電車が停車位置で必ず止まる!
電車がスケジュール通りに運行するのも、信じられないことのようです。海外では10分20分の遅延は定刻のうち、と聞いたことがあります。

今夏の東京オリンピック・パラリンピックには、ラグビーワールドカップ以上の観戦客が来日します。ほんの少し相手を気遣うことでできる、国際交流を体験してみませんか。きっと、一生、心に残る思い出となることでしょう。


文: 高橋留美子( Kiwi English Club 主宰)
イラスト: つぼいひろき

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