おもてなし英語を次のステップへ

おもてなし英語

接遇英語のプロが教える「出だし」だけ+ジェスチャーから始めるおもてなし英語』の著者で、おもてなし英語の研修やセミナー講師を務める中野美夏子さんに、英語でコミュニケーションする際のヒントを聞きました。


街のあちこちで見かける「おもてなし英語」シーン

先日、都内を運転していた時に改めて気がつきました。外国人観光客と日本の方が楽しそうにコミュニケーションしているシーンが本当に増えたなあ、と。皆さまもそう感じることはありませんか? あるいは、ご自身が道を聞かれることもあるかもしれませんね。

私が接客英語の研修を始めた10年以上前は、そもそも「おもてなし英語」という言葉がなく、「外国の方にどう声をかけたらいいのか、また、声をかけられたらどのように応えればいいか分からない」というご意見が多かったのです。

「コミュニケーションが不安で目を合わせないようにしている」と言う方もいました。ですから、「完璧な英語である必要は全くありません。自信を持って、すでに知っているシンプルな英語にジェスチャーや笑顔を添えてコミュニケーションを楽しんでください!」と繰り返しお伝えしてきました。そして、気がついたら多くの方がそれを実践しています。

今回見かけた方々のにこやかな表情と楽しそうな様子に、私は本当にうれしくなり、運転しながら「その調子です。頑張って!」と思わず声に出していました。

おもてなし英語の次のステップ

おもてなし英語の次のステップに進みましょう。せっかく最初の一歩を踏み出したのですから、どんどん前進したいですよね。今の勢いを保ちつつ、でも無理をして楽しさがなくなってしまわないように、少しずつ、①プラスαの情報を増やす ②語彙を増やす ③相手に分かりやすい表現を使うことに取り組んでみましょう。

①プラスαの情報を増やす

何かを尋ねられた時、より正確で有益、あるいは興味を引く情報を多く持っていると、コミュニケーションがスムーズに進み、相手にも喜ばれるものです。例えば、あるお店の行き方を聞かれた時、そのお店の定休日といった情報や、視界に入った日本ならではのモノ、習慣などを説明できたら素敵です。

一言で「情報」と言ってもさまざまですが、情報を増やす順番にルールはありません。よく尋ねられること、ご自分の興味のあることなど、取り組みやすいものからプラスしてみましょう。このとき、考えるのは日本語でいいのですが、ポイントは「英語で説明しやすい日本語」を意識することです。例にするなら、「火曜が定休日」ではなく、「火曜日に閉まっている」と言う具合です。英語にすると、”It’s closed on Tuesdays.”です。

②語彙を増やす

情報を増やそうとすると、新しい語彙も必要になるものです。ただ、あくまですでに「知っている言葉を補うための新しい語彙」であると考えてください。

七五三を例にしてみましょう。「記念写真を撮ることが多い」と伝えたくて、知っている表現が”photo”だったとします。調べると”take some commemorative photos (記念写真を撮る)”とありました。少し長いこともあり、覚えられるか、使いこなせるか不安になってしまったとしても心配はいりません。

“take (some) photos (写真を撮る)”で相手には十分伝わります。語彙を増やす時に無理は禁物です。気楽にいきましょう。

③相手に分かりやすい表現を使う

「分かりやすい表現」と聞くと、まず「簡単な単語でシンプルに」することが浮かぶのではないでしょうか。ここでは、さらにもう一つご紹介します。それは「英語で表現するときは結論から」というルールを意識することです。

日本語での表現は、思っている以上に起承転結の流れに影響を受けています。例えば七五三について説明する際、多くの方が”Shichi-go-san means seven-five-three in Japanese. (七五三は日本語で7、5、3の意味です)”と始めます。

日本人の感覚なら、「なるほど、それで?」と話の展開に興味を持てるのですが、英語圏の人の感覚では「いきなり一体、何のこと?」と戸惑いを感じるケースが多いようです。ですので、説明をするときには”It’s a traditional festival for children.(それは伝統的な子どものためのお祝いです)”のように大きな枠組みから始めて、その後に細かい説明を続けると安心感があり、分かりやすいのです。

英語で何かを伝えるときは結論から。相手のことを思いやる「おもてなし英語」だからこそ、意識してみましょう。きっとコミュニケーションがさらに楽しくなりますよ。


文: 中野美夏子
イラスト: つぼいひろき

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