次世代グローバル人材の育成を目指して。日産化学の海外派遣プログラム

日産化学

社員の語学力、異文化理解力の育成を目指して海外派遣プログラムを行う日産化学。確実に成果を上げるため、現地視察、徹底したサポートを実施します。人事部の贄雄二(にえゆうじ)さんと吉野治仁(よしのはるひと)さん(写真右)に、手応えや今後の展望などを聞きました。

日産化学株式会社
1887年、“日本資本主義の父”渋沢栄一と“サムライ化学者” 高峰譲吉博士が中心となり、日本初の化学肥料製造会社として創業。化学工業の先駆者として、各種事業を発展し、現在は国内5工場、3研究所に加え、海外にも複数の拠点を置く。情報通信・ライフサイエンス・環境エネルギー領域において、「独自の革新的な技術で社会の要請に応える未来創造企業」を目指す。近年は、エレクトロニクスや再生医療等の分野で、数多くの新製品を発売している。
https://www.nissanchem.co.jp/


グローバルマインドを育むための海外派遣プログラム

――2014年に、グローバル人材育成の一環として海外派遣プログラムをスタートされました。導入の経緯を教えてください。

 ちょうどその時期、当社では2030年を見据えた長期経営計画を策定していました。「2030年のあるべき姿」として、海外売上高比率を現在の30%から60%に上昇させるという計画です。これは海外での事業展開を支える人材も、2倍必要になることを意味します。グローバル人材の育成が、経営の大きな課題の一つとして浮かび上がりました。

グローバル人材といっても、まずは日本できちんと活躍できること、すなわち業務遂行能力が高いことが前提です。そこに、「語学力」そして「異文化理解力」が加わることで、海外で活躍できる人材に育っていくと考えています。プログラム導入前は、業務遂行能力が高い人材はいるものの、語学力、あるいは異文化理解力の面で、あともう一歩という社員が多いというのが実情でした。

――グローバル人材育成の施策はいろいろあると思いますが、その中でも海外派遣を選ばれた理由は何でしょうか。

吉野 グローバルに価値を創造できる人材を育成するためには、語学力はもちろんのこと、グローバルマインドを持つことも非常に重要になってきます。さまざまな国の人たちとオープンなコミュニケーションを取れる力を身に付けるには、トライアンドエラーをしながら体得するのが一番と考え、実際に現地で学ぶプログラムを採用しました。

対象者は次世代リーダーが中心

――プログラムの具体的な内容を教えてください。

 派遣期間は、原則として3カ月(12週間)です。語学力を高めるという意味では少し短いかもしれませんが、部署での人員補充をすることなく、語学学習や異文化体験ができる期間としてはこのくらいが妥当と判断しました。

初年度の行き先は、カナダ、イギリス、中国。次年度以降は、部署の要望なども踏まえて、アメリカ・シリコンバレー近郊やポルトガルへも派遣しています。現地では語学学校に通い、英語圏の国々ではホームステイ、その他の国々では寮に滞在します。対象者は主に入社3年から15年くらいの若手、すなわち、次世代を担う層です。このプログラムを通じて彼らに多くのことを学んでもらい、近い将来、グローバルにリーダーシップを発揮してほしいという意図がありました。

吉野 ただ、その後は、対象以外の社員についても派遣したいという希望が出てきました。関連部署との議論も踏まえて、現在では海外展開を中心的に担っているリーダー層についても、対象者を広げています。語学学習にとどまらず、現地の技術調査をするなど海外派遣という機会を少しでも業務に生かそうとしている積極的な社員が多い印象です。

日産化学

現地視察への同行が決め手に

――アルクでは、渡航先に関する情報提供や語学学校・ホームステイの手配、生活面や学習面でのサポートなど、海外派遣プログラムに全般的に関わっています。パートナーとしてアルクをお選びいただいた理由は何でしょうか。

吉野 当社は、社員研修においては海外派遣プログラムを実施した経験が乏しく、当初は右も左も分からない状態でした。語学教育のリーディングカンパニーであるアルクさんに、ぜひ知見をお借りしたいと思いました。また、英語圏以外の国でも幅広く事業を展開していることから、英語以外のさまざまな言語に対応していただける点もパートナー選定の上では重要な点でした。

 何よりありがたかったのが、現地への視察に同行していただけたことです。それも、1カ国だけではなく、3カ国でフルアテンドしていただきました。社員が滞在する都市は全て訪れ、語学学校を見学させてもらい、ホームステイ先にもお邪魔しました。

社員を海外に派遣する上で、一番のリスクは安全面です。アルクさんは、現地とのネットワークを持ち、安全情報や生活面において深いノウハウと知見をお持ちでした。現地視察を通じて「こういうところで過ごすのであれば大丈夫だな」と実感を得ることができ、安心してプログラムをスタートすることができました。

日産化学

異文化経験で高まる発信力

――プログラムはどのような流れで進んでいくのでしょうか。

吉野 渡航前にオリエンテーションを行います。ここでは、アルクの担当者さんから参加者一人一人に、プログラムの流れや現地情報をご説明いただいています。

その後、参加者全員を集めたセミナー「海外研修成功塾」を実施します。英語ネイティブの講師とActive Listener、Active Speaker※、ホームステイ先でのポイントについて、ディスカッションを交えながら考える約2時間の研修です。終了後、参加者はプログラムで達成したい目標を設定し、実現に向けた行動プランをシートに記入するのですが、研修を通して皆、自分が思った以上に話せないことに気付き、渡航に向けての意欲が高まるようです。

※積極的な話し手、聞き手になるためのトレーニングをする。

 現地滞在中は、グループレッスンとマンツーマンレッスンを組み合わせながら、一般英語とビジネス英語の両方(※英語圏の場合)を学んでいきます。参加者には週に1度、学んだことやその感想、現地での様子などを週報の形で送ってもらいます。その中に困りごとが書かれていれば、アルクさんとご相談しながら早めに対応しています。必要に応じてアルクさんから参加者や語学学校に個別に連絡していただき、学習上のアドバイスやプログラムの調整などをしていただくこともあります。すぐに問題解決に当たってくださるので、安心感がありますね。

フィリピン語学研修とTSSTを導入

――プログラムの参加者からは、どのような声が聞かれましたか。

吉野 異文化の中で暮らし、いろいろな国から来た人たちと共に学ぶという経験を通じて、より積極的なコミュニケーションをとり、オープンに発信できるようになった社員が多いようです。語学力に不安を感じていた者からも、「最後にはためらいなく話せるようになった」という感想が聞かれました。

日産化学

――一方で、課題も見えてきたそうですね。

 はい。導入当初は、語学力の素地があるものの、異文化理解力に課題のある社員が中心でした。異文化理解力を高めるという点では、最初からグループレッスンに入り、コミュニケーションを実践的に身に付けるという手段は有効でした。

その後、彼らの姿を見て、語学力にそれほど自信のない社員も手を挙げてくれるようになりました。希望者のすそ野が広がったのはいいことですが、いきなりグループレッスンに入った時に、英語で「話すこと」に慣れるまで時間がかかり、出遅れてしまうケースが出てきました。そこで、グループレッスンに入る前に、よりスピーキングにフォーカスしたプログラムを組み入れてみようということになりました。

アルクさんに相談し、今年からフィリピンで集中的にスピーキングを鍛える研修を導入しています。ここでは、マンツーマンレッスンを中心に、英語を話すことに徹底的に慣れてもらいます。今年の参加者の週報には、「マンツーマンならではのきめ細かい指導を受けたことで、スピーキングに対して自信を持てた」という感想がありました。語学力、特にスピーキング力を向上させるという目的は果たせているようで、ホッとしています。

また、効果測定ツールとしてTSST (Telephone Standard Speaking Test)を導入しました。渡航前に1回、フィリピンでの語学研修後に1回、その後は派遣先で月に1回、現地から電話でテストを受けてもらいます。各自が好きな時間を選んでテストを受けられる簡便性とコストパフォーマンスの高さ、そして、スピーキング力をきちんと判定してくれる正確性に優れていると感じます。早い人では、フィリピンでの語学研修を終えた時点でTSSTの4から5へとレベルアップしていますね。

より専門的な海外派遣プログラムも視野に

――今後はどのようにプログラムを実施していかれますか?

吉野 語学力の向上や異文化理解といった部分には引き続きフォーカスしつつ、今後はより専門的な海外派遣プログラムも検討したいと考えています。例えば、ロースクールのようなところで学んだり、エグゼクティブ向けのビジネススクールで学んだりするイメージです。実際、社員からもそのようなプログラムを希望する声が出始めています。必要な分野に合わせたプログラムも実施できれば、より専門性を高めて活躍できる人材が増えていくのではないかと期待しています。

 そうですね。現在のプログラムは次世代を想定した内容になっていますが、そのさらに一つ上をいく「次世代の経営」を担う人材も育てていければと思います。会社全体がグローバルカンパニーとして進化していくために、今後はより総合的な施策を行っていくことを目指します。

日産化学
人事部 副課長
贄 雄二(にえ ゆうじ)さん

2009年に新卒で日産化学工業(現日産化学)に入社。同社袖ケ浦工場で生産管理や経理を担当後、2012年6月に人事部へ異動。採用や人材開発を中心に人材マネジメント全般に携わる。

人事部
吉野治仁(よしの はるひと)さん

2013年に新卒で日産化学工業(現日産化学)に入社。農業化学品事業部でロジスティクスを中心に担当した後、2016年10月に人事部へ異動。採用や人材開発を中心に、人材マネジメント全般に携わる。

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取材・文: いしもとあやこ
写真: 横関一浩

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