外国人社員は日本人とのコミュニケーションで、ココがワカラナイ!【経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに聞きました】

ロッシェル・カップさん

コンサルタントとして企業研修を行なう中で、働く人たちの声をたくさん聴いてきたというロッシェル・カップさんに、ビジネスの現場で日本人と外国人がスムーズに仕事をするためのヒントを教えてもらいます。最終回は困ってしまう外国人が続発する、職場のコミュニケーション問題です。


【Why?】日本人はノーを言わない。理解も納得もしていないのに”Yes, yes.”と言うし、本当は何が言いたいの?
➡ 失礼にならないようにと、断定的な言い方を避ける日本人の心配りが、かえって外国人を戸惑わせることがあります。あなたは「前向きに検討します」と断ったつもりでも、相手は額面通りに受け取って期待してしまいます。なお、話を聞きながら、”Yes.”と相づちを打つのもよくありません。了解や賛同のサインだと受け止められるからです。相づちは”Uh-huh.”としましょう。

【Why?】初めて日本企業に転職し、ビジネス習慣や職場のことが分からない。日本人の同僚も上司も何も説明をしてくれず、疎外感を感じます。
➡ 日本で生まれ育った人なら、自然と身に付いている日本社会の常識も、外国人には分からないことだらけです。さらに職場にも、業務のこと、顧客や関連会社のこと、社内のどこに何があるか、社風や習慣など、社員の共通認識がたくさんあります。これまで外国人と働く機会の少なかった日本人社員にとっては気付きにくいことですが、途中から加わる社員にとって、自分だけが職場の共通認識を知らないというのは大きなフラストレーションです。ささいなことに思えるかもしれませんが、新しく入ってきた人には始めにオリエンテーションをするのが効率面でもプラスです。

【Why?】仕事に対する評価や、自分の良い点、改善すべき点を知りたいのに、上司がきちんとフィードバックをしてくれません。
➡ フィードバックは、部下の仕事の成果や進め方について、上司が評価したり助言を与えたりすることです。外国人社員はフィードバックをとても重要に考えています。これがないと、自分の仕事がどう評価されているのか分かりません。パフォーマンスを向上させるために良かった点、改善すべき点を認識したい彼らにとって、不安やいら立ちにつながります。

【Why?】部下にどなったり、きつい言葉を使ったりする上司が理解できず、自分から話す気になりません。
➡ 日本の会社ではある程度容認されてきたのかもしれませんが、グローバル化が進んだ現代社会では受け入れられるものではありません。外国人の部下が指示を守らない、日本の企業になじまない言動をするなど、上司として注意をする場面は当然あると思いますが、頭ごなしの叱責より、日本人の考え方ややり方をよく説明して、理解してもらうほうが効果的です。

ロッシェル・カップさん

フィードバックも重要なコミュニケーション

上のコメントにある「上司から部下へのフィードバックがない」という意見は、日本企業で働く外国人社員から頻繁に寄せられる指摘です。日本人が思う以上に、彼らにとっては重要度の高い問題ですので、もう少し説明しておきましょう。

ほとんどの外国人社員は自分の仕事ぶりについて、長所短所を客観的に評価してもらわないと、希望通りのキャリアパスを順調に歩めているのか、どこをどう改善すればいいのか知ることができないと感じています。不満が高じた結果、「この会社は社員に無関心だ」「自分は正当に評価されていない」と、辞めてしまうことも少なくありません。

フィードバックは上司と部下、会社と従業員の、とても重要なコミュニケーションであることを理解してください。そしてフィードバックをするときは、「君はよくやっていると思うよ」「もうちょっと頑張ってね」で済ませずに、できるだけピンポイントで、具体例を示して話すのがコツです。ミスや改善点を指摘するだけでなく、良いところも積極的に評価しましょう。部下の表情も仕事ぶりも変わりますよ。

伝えたいことは明確に表現しよう

英語は「あいまい」が苦手な言語です。あいまいというのは、結論をはっきり言語化せず、感覚的に物事を終わらせてしまうこと。このあいまいさを日本人の多くは心地よく、あるいは楽だと感じますが、ほとんどの外国人、とりわけ欧米人にとっては真逆です。そうした言語環境になじんだ人たちとのコミュニケーションでは、日本語で話すときでも、常に明確明快な伝え方を心掛けること。誤解の余地がないように話すことが大切です。

日本人がNoを言いにくい背景には、紋切り型の言葉が相手を不快にするのではという心配があるようです。しかし、どの言語でも「とても魅力的な提案ですが」などと一言添えることで、相手を尊重する気持ちは十分に伝えられます。あわせて合理的な理由も説明すると、納得を得やすくなります。

相手を知り、自分のことを知ってもらうことから、本当のコミュニケーションは始まります。どうぞ言葉を惜しまずたくさん話をして、ともに働く外国人とよい関係を築いてください。

ロッシェル・カップ (Rochelle Kopp)
アメリカ、シカゴ出身。経営コンサルタント、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング、社長。日本企業の組織活性化とグローバル人材育成を支援。著書に『反省しないアメリカ人をあつかう方法34』『英語の交渉 直前7時間の技術』ほか。
Twitter @JICRochelle

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取材・文: 田中洋子
写真: アルクplus 編集部

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