日本人が外国人社員とのコミュニケーションで「困る」こと【経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに聞きました】

ロッシェル・カップさん

コンサルタントとして企業研修を行なう中で、働く人たちの声をたくさん聴いてきたというロッシェル・カップさんに、ビジネスの現場で日本人と外国人がスムーズに仕事をするためのヒントを3回にわたり教えてもらいます。第2回は、日本人社員から見た「困ったこと」について、カップさんが解説します。


【困!】外国人との英語の会議で、発言のきっかけをつかめません。
➡ 日本人は会話が途切れるのを待ってから発言しようとしますが、外国人を交えた英語の会議では、話している人を遮り、自ら発言の機会を作り出すことも必要です。手を挙げるなどして注意を引き、割り込む形も問題ありません。前もって出席者に「英語が堪能ではない人もいるので、彼らが話す機会も意識してほしい」などと伝えるのも一案です。

【困!】自己主張の強さやストレートな表現に圧倒され、言いたいことが言えなくなってしまう……。
➡ 自己主張もストレートな言葉の選び方も、英語を母語とする人同士の会話でよく耳にします。これらは、コミュニケーションの際に期待されるスキルです。そのため、少なくとも英語を話す上で、自分も必要に応じてできるようになるのが一番です。「そういうものか」と知っておくだけでも、気持ちに余裕ができると思います。
とはいえ、英語を母語にする人が何でもかんでも歯に衣着せず話しているわけではありません。英語にも婉曲表現や丁寧な言い回しはもちろんあって、それらを使い分けています。ですから直接的に言い過ぎないよう、TPOを踏まえて気を付けるといいでしょう。

【困!】頼んだ仕事がいつも期限までに終わらないのは、なぜ?
➡ 多くの外国人は「期限」について、「それまでにできればベストだが、絶対的なものではない」と捉えています。ですから、どうしても期日までに終わらせてほしい仕事は、頼む時点で説得力のある説明をしましょう。また、たびたび進捗状況を確認するといったフォローも必要です。これをしないと、「この仕事は、そこまで重要でも急ぎでもない」と、受け取られてしまいます。また、相手が自分の部下でない場合は、直接の上司を通して依頼しないと、あなたの仕事の優先順位は低くなるはずです。

【困!】ミスをしても謝らず、言い訳ばかり!
➡ よく言われる例ですが、アメリカ人は簡単には謝罪しません。うっかり謝ると100%自分の責任になってしまうのが、アメリカ社会だからです。アメリカ人はミスの原因を説明することが重要だと思っていますが、日本人からすればそれが言い訳に聞こえるかもしれません。謝罪一つとっても、それぞれの文化に特有の意味や解釈があります。日本社会では「すみません」がどういう意味を持つのかをきちんと説明し、相手の理解を助けるようにしましょう。

ロッシェル・カップさん

「外国人」でくくらず、その人の文化背景を知ろう

日本の人たちの目には「外国人」はみな同じに映るようですが、言語コミュニケーションの文化は多様です。

ドイツ人、オランダ人、ロシア人などが非常に直接的な話し方をするのに対して、同じヨーロッパ人でもイギリス人の物言いは一般的にもっと婉曲です。東南アジアでも、タイやベトナム、シンガポール、そしてアフリカではより間接的な表現を好み、はっきりものを言う人が多いアメリカでも、普段はドイツ人やオランダ人ほどストレートには言わないし、地域によってはかなり婉曲な話し方をする人がたくさんいます。

アジアで比較的自己主張が強いのは韓国人で、タイやベトナム、フィリピンの人々は日本以上に自己主張が抑制的。素直で控えめ、従順な印象です。でもそれは、日本人以上にNoを言うのが苦手だからかもしれません。どんな仕事を頼んでも文句一つ言わず、いつもニコニコと引き受けてくれる人が、心の中では「この上司は無理ばかり押し付けてくる」と、苦々しく思っていることもあるのです。

これだけ多様な人々を「外国人」の一言でみなすのは、トラブルのもと。相手の国や住んでいた地域を知り、その人の文化背景を知ることが、円滑なコミュニケーションへの第一歩です。

困ったときは、あえて一歩踏み込んでみる

英語圏には、あえてsarcasm(皮肉)を口にする人もいます。心の中で「ばかばかしい」と思っていながら、わざと”Wow, that’s a great idea!”と褒めそやす相手を、あまり英語が得意ではない人は額面通りに受け取ってしまうかもしれません。

何か変だなと感じたら、その場ですかさず確認しましょう。「本当にそう思う?」と聞かれれば、相手も”I was just joking.”と本音で話してくれるでしょう。外国人とのコミュニケーションでよく分からない、困ったという時は、そのままにせず「一歩踏み込む」ことが大事です。

外国人と一緒の会議で、発言のタイミングがつかめないという意見がありました。この場合も一歩踏み込んで対応しましょう。「ちょっと待って、私にも言わせて!」と、とりあえず声を上げてもいいし、どうしても熱弁が止まらない人には”Please slow down so everyone can follow you.”などと、はっきり言って大丈夫です。

日本人はおしなべて、議論や討論に慣れていません。それでも状況を良くすることは可能です。「困ったときは一歩踏み込む」を覚えておいてくださいね。

次回は、日本人社員とのコミュニケーションについて、外国人社員の意見を紹介します。

ロッシェル・カップ (Rochelle Kopp)
アメリカ、シカゴ出身。経営コンサルタント、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング、社長。日本企業の組織活性化とグローバル人材育成を支援。
Twitter @JICRochelle

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取材・文: 田中洋子
写真: アルクplus 編集部

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