外国人は日本企業のココがイヤ! ココがイイ!【経営コンサルタント、ロッシェル・カップさんに聞きました】

ロッシェル・カップさん

経営や人事のコンサルタントとして、セミナーや研修会を行なう中で、日本企業の経営者や人事担当者、そこで働く人たちの声をたくさん聴いてきたというロッシェル・カップさんに、一緒に働く日本人と外国人が少しでも理解し合えるよう、それぞれの立場からの意見を3回にわたって紹介してもらいます。初回は「外国人社員が日本の会社について、どんなことを考えているか」を見ていきましょう。


日本企業のココがイヤ!

「とにかく意思決定に時間がかかる。習慣化したやり方を変えたがらない」
➡ 外国の「当たり前」を知る社員だからこそ、日本企業の残念なところがよく見えるし、とても気になります。会社のシステムを見直して生産性をアップするための警鐘として、彼らの言葉に耳を傾けてみてください。

「キャリアパスが見えなくて不安です」
➡ この会社で働くと、どういう未来が開けるだろう? 外国人の昇進には「見えない天井」があるのではないだろうか? 外国人社員は常にキャリアパスを考えて働いています。だから先が読めないのは、とても不安なのです。どんなキャリアプランが可能か、明確に伝えることで安心して働いてもらえます。

「海外拠点との窓口など、配属されるポストが限定的」
➡ 会社が外国人の特性を生かした配置をするのは当然です。しかし、あまりに日本人社員とかけ離れた扱いになってしまうと、いつか責任ある立場につきたいと思っていても、必要な経験を積むことができません。その点で配慮が必要です。

「気軽に残業を頼んでくる。何かというと飲み会に付き合わされる」
➡ 宴会などは、たまに参加自由でやるならよいのですが、ズルズルと拘束されると負担です。プライベートを大切にしたいのは、日本の若者も同じ。みんなで定時に帰りましょう。

日本企業のココがイイ!

「計画、プロセス、詳細を重視し、物事をしっかり分析する日本の会社は堅実」
➡ 計画を立て、計画通りに実行する力は、日本企業の優れた点です。そのことを理解し評価する外国人社員は少なくありません。

「コンセンサスによる意思決定で、社員の意見を大切にしている点がよい」
➡ 意思決定に時間がかかるといら立つ人がいる反面、みんなの合意で物事が進む日本式の意見形成を、好ましく思う人もいます。

「日本人の同僚は、とても丁寧で親切。チームワークもよく機能しています」
➡ 外国人も楽しく過ごすのは大好き。会社に束縛されたくないという意見がある一方、職場の仲間と飲みに行くのがうれしいという人もたくさんいます。強制しない、付き合いが悪いと仲間外れにしないなど、ちょっとした工夫でみんながハッピーになれます。

「日本企業で働くと、学ぶ機会が多くてうれしいです」
➡ 日本のビジネスのやり方が経験でき、日本語能力も磨けてプラスになるという声をよく聞きます。海外との会議や交渉など、自分が外国人であることがビジネスに役立つ場面もあり、そのおかげで思いがけない経験ができることもあります。

ロッシェル・カップさん

外国人社員がイヤなことは、日本人社員もイヤ

日本の会社に対する外国人社員の意見を聞くと、面白いことに気付きます。彼らが「日本企業のここはいやだな」と感じていることの多くは、日本人の若い社員が日頃感じている不満とも一致するのです。ということは、外国人社員が指摘する課題を改善していくと、外国人社員も日本人社員も、より伸び伸びと働けるのではないでしょうか。

日本人社員は不満があっても簡単に辞めたりしません。ですから企業は、働く人が本当はどういうことに悩んでいるのか、気付きにくいのです。その点、外国人社員は常に外の労働市場に目を向けているので、「この会社では先がない」と思えば、あっさり転職してしまいます。

それを見て、「外国人だから簡単に辞めちゃうんだよね」と軽く片付けてしまう会社のなんと多いこと! 外国人に限らず、社員の不満に向き合うことは、自社の弱点を改善するチャンスです。

外国人社員の力をもっと生かすために

外国人を雇用した会社が、もし「外国人は臨時雇いで、会社の財産ではない」と考えているなら残念です。会社の資産として彼らを認め、効果的に使っていくべきです。そのために大事なのは、彼らと率直に話すこと。それぞれの得意分野や発想が分かると、その力をもっと積極的に活用して、会社はパワーアップできます。そういう職場は、社員自身もやりがいを持って働けます。

企業にとって、外国人社員は世界を知るための窓でもあります。日本の外で何が起きているか、日本ではない国の「当たり前」とは何なのか。彼らが語る言葉には、グローバル戦略に役立つ情報がたくさん含まれていますよ。

とはいえ、日本人のマネジャーはアメリカのマネジャーと比べて、1対1で部下と話すことがとても少ないですね。マネジャー自身のスキル研修をやってでも、部下との対話をもっと増やしてほしいと思います。

次回は、外国人社員とのコミュニケーションについて、日本人社員の意見を紹介します。どうぞお楽しみに!

ロッシェル・カップ (Rochelle Kopp)
アメリカ、シカゴ出身。経営コンサルタント、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング、社長。日本企業の組織活性化とグローバル人材育成を支援。
Twitter @JICRochelle

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取材・文: 田中洋子
写真: アルクplus 編集部

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