グローバル業務に必須の英語力を6カ月で育成。学習サポートにも力を入れる日揮ホールディングスの新入社員研修

日揮

社員の2割近くが海外駐在、海外出張は月約300件と、社内に英語が飛び交う日揮ホールディングス。新卒新入社員を対象に、6カ月で業務に必要な英語力を身に付ける研修を行っています。グループ人財・組織開発部の成川潤さんにお話を聞きました。

日揮ホールディングス株式会社
世界各地で展開する建設・エンジニアリング会社。プラントや施設の設計、調達、建設事業(EPC事業)を中心に、事業投資・運営、社会インフラの整備と守備範囲は広範。オイル&ガス分野とインフラストラクチャー分野でのプロジェクトマネジメント、機能材製造事業、エネルギー&環境コンサルティング事業、技術開発分野でも事業を展開。2019年10月1日より、日揮グループの主軸は3社体制に。「日揮グローバル株式会社」は海外EPC事業、新「日揮株式会社」は国内EPC事業、「日揮ホールディングス株式会社」はグループ全体の戦略立案・統括管理等を担っている。
https://www.jgc.com/


英語力以上に意欲を重視するグローバル企業

――日揮さんといえば、石油や天然ガスのプラント建設など、海外でのダイナミックなご活躍で知られています。当然、英語は不可欠ですね。

成川 日常的に一番英語が必要なのは、海外事業に直接携わる「日揮グローバル」です。海外駐在や出張時はもちろん、日本にいても顧客とのコミュニケーションに英語を使わない日はありません。

2番目に英語を使うのは、「日揮ホールディングス」です。海外事業と国内事業の両方を統括していますので、海外のプロジェクトの状況把握から、海外駐在員の労務管理まで、英語が必要とされる場面は少なくありません。

国内事業が中心の新生「日揮株式会社」では、日常業務で英語を使用する頻度は多くないものの、英語を使う部署への異動の可能性はあります。自分の可能性を広げるという意味で、やはり英語は必要です。

ただ、新卒者の選考時には英語に関する条件は特になく、TOEICスコアで足切りをするようなこともしていません。むしろ、「英語にアレルギーがなく、外国人との交流に意欲的」であることを重視しています。モチベーションがあれば、入社してからでも必要な英語は身に付けられます。

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新入社員の英語研修をこの4月にリニューアル

――その新入社員向けの英語研修を、今年4月にリニューアルされたとのこと。どのような点が変わりましたか?

成川 昨年までは、アルクさんほか複数の会社に講師を派遣してもらい、1~2週間の短期集中型で、集合研修を行なっていました。しかし1、2週間程度で、急に英語力が伸びるわけではありません。また毎年80人ほどいる新入社員をレベル別に分けて研修を行うには、外部の研修施設を借りるしかなく、コストも非常にかかっていました。

そこで、短期集中型ではなく英語学習を習慣化してもらうことを目的とし、研修期間を4月から9月までの半年に伸ばしました。また与えられたプログラムをこなすのではなく、自ら選択し取り組んでもらえるようにしました。

新しい研修ではまず、4月中旬に対象者全員を集めて、モチベーションアップのための1日研修を行ないます。その後、5月から9月末まで、各自で学習に取り組んでもらいます。その際、一人一人が自分に合った方法で学習できるよう、複数のメニューを用意することにしたのです。数社に相談した結果、当方の希望に沿った形で最も魅力的なご提案をいただいたアルクさんに、今年から全面的にお任せすることにしました。

グループ研修、通信講座、英語学校。学習方法は各自で選択

――4月に行なう1日研修は、どのような内容ですか?

成川 一つの柱は、異文化理解の促進や英語学習のモチベーションアップを目的とした「Global Application」です。アルクさんの講師が指導する、アクティビティやディスカッションを中心とする6時間のプログラムを通じて、異文化コミュニケーションに関する理解を深め、効果的なスキルや英語の運用方法を学びます。

今年の参加者は、TOEICスコアが300点台から900点台までと幅広かったのですが、英語力に関係なく10チームに分けたうえで活動をしたので、円滑に英語でコミュニケーションをする同期を見て、特に500点から600点台の人たちは刺激を受けたようです。

研修後半では2時間をかけて、プロの学習カウンセラー※による、英語レベル別のグループカウンセリングを行ないました。これがこの日の研修のもう一つの柱です。

※アルクが認定するESAC (English Study Advisors’ Certificate)の資格を持つ英語学習アドバイスのプロ

――カウンセリングセッションについて、詳しく聞かせてください。

成川 あらかじめ全員にシートを配布し、英語学習の目的や半年後の目標、これまでの自己啓発における成功 / 失敗事例、生活パターンに合った学習スケジュールなどを記入してもらいました。これをもとにカウンセラーがナビゲートして、英語に関する弱点やそれを克服するために何が必要か、といったことを引き出します。最終的にどのような学習方法が自分に向いているのか、一人一人自覚することができたと思います。

こうした自己分析を経て、セッションの終盤には全員が具体的な学習プランをイメージできるようになりました。仲間のやる気に触発されたり、生活の中で学習時間を確保する工夫を学んだりと、参加者相互で啓発されることが多かったのも、グループカウンセリングの利点だったと思います。

最後に、その後5カ月間の英語学習法を選んでもらったのですが、一定の条件をクリアすれば会社が全額を負担、しなければ自己負担とし、「自己責任」であることを意識させるようにしました。英語は短期間では身に付きにくく、長期にわたる主体的な学習が欠かせないと考えたためです。

――参加者はどう学習を進めましたか?

成川 アルクさん提供のプログラムは、レベル別の少人数グループ研修や通信講座オンライン英会話eラーニングなどです。自身で見つけた外部の英語学校に通っても構いません。みな、自分の目的や時間の使い方に合ったものを思い思いに選んでいました。

参加が多かったのは、やはりグループ研修です。今年はレベル別に6名から9名の少人数クラスに分け、初級1クラス、中級と中上級がそれぞれ2クラスの合計5クラスで実施しました。内容は、基本的にスピーキングとリスニングです。初級では「Rhythm & Beat」とTOEIC対策、 中級は「Creative Speaking」、中上級の2クラスはビジネスコミュニケーションが中心でした。

初級と中級は日本人講師、中上級の2クラスはネイティブ講師に担当していただき、社内のミーティングルームで週に1回、平日の就業時間後に2時間、しっかり学ぶことができたと思います。

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レベル別少人数クラスでのグループ研修に手応え

――9月に終了した今年の研修、成果はありましたか?

成川 詳細な評価については現在分析中ですが、グループ研修には手応えを感じています。仲間と一緒に受講するので、互いに励まし合って出席率も良好でしたし、結果的に完走できた人が多かったように思います。何人かに話を聞いたところ、外国人の同僚や関係者と話すとき、前よりスムーズに英語が出るようになったと喜んでいました。

通信講座や外部の英会話スクールを選んだ人ももちろんいます。グループ学習より、マイペースで学習を進めるほうが向いている人もいるのです。通信講座に関しては、完走できなかったケースも一部ありましたが、反対にどんどん課題を進めて、予定より早く終わらせてしまった人も少なくありませんでした。

来年は通信講座も含めて、全員が自分の選んだプログラムを消化できるよう、社内で情報を共有し、仕事量の調整や、学習に対する本人の動機付けなど、さまざまな角度から対策を立てていきます。

一人一人の継続と、着実な研修目標達成を目指して

――今後の研修は、どのように進めていかれますか?

成川 今年の研修は、日揮ホールディングス、日揮グローバル、新生・日揮株式会社の一部の新入社員が対象でした。これも来年度からは枠を広げ、グループ全体の新入社員に対して実施する予定です。

継続のしやすさという点では、受講者をもっとグループ研修に誘導したい気持ちはあります。しかし、自分のペースで学びたい人もいますから、選択肢はあったほうがいい。いずれにしても来年は全員が完走できるよう、受講者のサポートには一層力を入れていきたいと思います。

日揮
グループ人財・組織開発部
人事開発チーム
成川 潤さん

大学で機械工学を学んだのち、2013年にオイル&ガスプロジェクトカンパニー(現・日揮グローバル)に入社。建設部に配属され、6カ月後にはカタールへ赴任。4000人の作業員を擁する現地のプラント建設現場で、1年半にわたり施工管理の仕事に従事した。横浜本社に戻ってからは、液化天然ガスの貯蔵設備等の見積案件を主に担当。半年間の育児休業を経て2018年4月に復帰し、グループ人財・組織開発部で人材開発に取り組む。

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取材・文: 田中洋子
写真: 横関一浩

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