ちょっとしたお手伝いで「情報難民」は避けられる

計画運休

過去最高の外国人旅行者が日本を訪れる中、天候や自然災害などにより生じる交通機関の乱れや運休などを訪日客に伝えるには、どうすればいいでしょう。通訳ボランティアで、児童英語教師としても活躍する高橋留美子さんに聞きました。


「知っているだろう」は危険

先日、台風関連のニュースを報道するテレビ番組で、フェリー乗り場にいる訪日客にインタビューをしていました。日本人リポーターが台風で終日フェリーは欠航だと伝えると、彼らはどうすればいいのか分からず途方に暮れてしまいました。気の毒なことに、ニュースなどをチェックしていなかったようで、運行情報を知らなかったのです。

電車が計画運休した際も、外国人旅行者の方々が困っている姿を見ました。日本人の感覚からすると旅行中、天気予報くらいチェックする気もしますが、全員がそうではないということです。

伝わらなかった文字情報

ラグビーのワールドカップが開催中です。私が住む地域はホストシティーの一つで、ラグビー場が改修されました。こけら落としの試合を行った際は、本番を想定して会場まで交通規制を実施。シャトルバスが交通手段となりましたが、最寄り駅からバスの発着所までは15分ほど歩かなければなりません。

当日は朝から、駅の改札を出てすぐの場所にその旨を書いたお知らせが貼り出されましたが、案内する人は誰もいなかったそうです。そのため、掲示に気付かなかった人々(日本人です)は、来るはずがないラグビー場行きの民間バスをロータリーでずっと待っていたと聞きます。

どこかに1人でも案内の人が立ち、シャトルバスについて説明してくれていたら、その事態は起きなかったでしょう。

情報難民にさせないために

電車の運休などで途方に暮れる旅行者を出さないために、何ができるでしょう。例えば、宿泊施設なら天候の情報や交通機関の運行状況を説明する張り紙、チェックアウト時に一言、「今日は電車が午前中は止まっていますが、これからどうなさる予定ですか?」と声をかけるといいと思います。文字情報だけでは気付かないこともあります。

台風の影響で関西国際空港の機能が停止し、人々が孤立してしまったときには、外国人観光客に向けて十分な情報提供や誘導がなされることはなく、彼らは状況を把握できない「情報難民」になってしまいました。事態をつかめず、心細かったことでしょう。

これを踏まえて空港では現在、4カ国語でのアナウンスを準備。繰り返し放送するようになったそうで、今年の台風では外国人観光客からの問い合わせは少なかったと聞きます。視覚だけでなく、聴覚からも情報を得られることで、起きていること・起こり得ることが分かります。

英語で話すことに自信がなければ、「〇〇で午前中は電車が動きません」と英語で書いたメモを渡すのでもいいでしょう。鉄道会社や気象庁の英語版サイトを印刷するだけでも十分です。非常時を想定して、英語版や中国語版の災害対策サイトをプリントして準備するのもいいでしょう。指さしボードとして使えます。

翻訳アプリもたくさんありますし、手のひらサイズの通訳機も手ごろな値段で販売されています。日本人でも外国人でも旅行者が必要とする情報は同じです。「外国語ができないから無理」ではなく、ちょっとした気遣いで、困っている人を救うことができます。一歩踏み出してみませんか。


文: 高橋留美子( Kiwi English Club 主宰)
イラスト: つぼいひろき

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