使える英語力を育てるためには、コミュニケーションの目的、場面、状況を意識した活動を行うこと

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子どもの英語にまつわる、さまざまな疑問や最新情報を、藤田保先生(上智大学言語教育研究センター教授)より、分かりやすく解説していただきます。


外国語(英語)の授業における「技能統合の重視」という考え方は中学校だけの話ではなく、小学校や高等学校でも共通していることですが、ここでは中学校を中心に見ていきましょう。

前回、テレビ番組を見ながら家族であれこれ言い合うのは、「聞くこと」と「話すこと」を同時に行うことだ、と書きました。同様に、電話をしながらメモを取るのは「聞くこと」と「話すこと」に加えて「書くこと」も同時に行っています。講演会で講師の話を聞きながらスライドの情報を読み、ハンドアウトに必要事項を書き取るのは、「聞くこと」「読むこと」「書くこと」を同時に行っていることになります。さらに聞き落としたところを隣の人に尋ねれば、さらに「話すこと」も加わります。このように、私たちの日常生活では、ことばの複数の技能が組み合わされることの方が自然なのです。

教室のなかでも、自然な言語使用の状況に近づける

しかし、これまではリスニングはリスニング、リーディングはリーディングと技能ごとに指導されることが多く、その結果、実際の使用場面とはかけ離れた不自然な言語活動が多く行われてきました。例えば「関係代名詞を学んだから関係代名詞を使った文を書く」のようなことは教室の中では当たり前だったかも知れませんが、私たちの日常生活では目的もなく関係代名詞を使った文を書くなどという状況に直面することはまずありません。

学習指導要領で「読むこと」の例としてあげられている「社会的な話題に関する説明などを読んで……要点を把握する活動。また、その内容に対する賛否や自分の考えを述べる活動」は自分自身の意見を述べるための資料として文章を読むという目的が明確になっています。

また「伝えようとする内容を整理し、自分で作成したメモなどを活用しながら相手と口頭で伝え合う活動」(話すこと[やり取り])をしたりすることは、頭を整理し、内容を忘れないためにメモに内容を書くのであり、それによって円滑なやり取りを進めるという目的が明らかです。さらに、「聞いたり読んだりしたことから把握した内容に基づき、自分の考えや気持ち、その理由などを書く活動」(書くこと)も、書くことを独立させるのではなく、聞く・読む活動とつなげることによって、「何を・なぜ書くのか」がはっきりするのです。

これが前回も述べた「コミュニケーションの目的や場面、状況」を意識した活動であり、教室内にあってもできるだけ自然な言語使用状況に近づけた活動を行うことによって、教室の外に出ても実際に使える英語力を育てることを狙っています。

藤田先生2
藤田 保
上智大学言語教育研究センター教授。専門は応用言語学(バイリンガリズム)と外国語教育。アルクキッズ事業アドバイザーを務める。NPO小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)専務理事。著書に『先生のための英語練習ブック』(アルク)など。

写真1枚目: pixta

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