中学校の英語も「実際のコミュニケーションにおいて 活用できる技能を身につける」ことが大切

子どもの英語にまつわる、さまざまな疑問や最新情報を、藤田保先生(上智大学言語教育研究センター教授)より、分かりやすく解説していただきます。
※本記事は、「アルク Kiddy CAT英語教室」に通う生徒の保護者の方向け情報誌『えいごのじかん』Vol.22(2019年6月1日発行)からの転載です。


新学習指導要領における中学校の外国語(英語)では、知識を活用することが重視され、実際に英語を使いながら言語活動を行うことが大切です。

言語活動を中心に授業を行うというと「語いや文法はどうするんだ?」と心配される方も少なくないかもしれません。大人たちが受けてきた従来型の授業では、まず語いや文法を覚えることが大事で、余裕があれば使ってみよう、という考え方が一般的でした。しかし、新指導要領の「目標」の第一番目には「外国語の音声や語い、表現、文法、言語の働きなどを理解するとともに、これらの知識を、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を身につけるようにする」とあります。つまり「実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能を身につける」ことが大切で、語いや文法等はあくまでそれを達成するための手段なのです。

さらに文法の指導にあたっては、「文法はコミュニケーションを支えるものであることを踏まえ、コミュニケーションの目的を達成する上での必要性や有用性を実感させた上でその知識を活用させたり、繰り返し使用することで当該文法事項の規則性や構造などについて気づきを促したりする」こととあります。すなわちコミュニケーションの目的や場面、状況(いつ・どこで・誰と・何のために言葉を使うのか)をしっかりと意識しながら「使いながら身につける」ことが求められているのであり、覚えてから使うのではないことが明示されています。また、「用語や用法の区別などの指導が中心とならないよう配慮し、実際に活用できるようにする」ようにも注意喚起がなされており、例えば「“I want something to drink.”の“to” は不定詞の何的用法か?」などと問うような授業は避けるべきだとされています。

今回の学習指導要領改訂のもう一つの大きなポイントが「技能統合」という点です。これは、例えば「読むこと」は読んで終わりなのではなく、読んだことについて話し合ったり、読んだ内容に対する自分の意見を書いたりしてはじめて完結する、といった考え方です。私たちの日常生活でも、テレビ番組を見ながら家族であれこれ言い合ったりすることが当たり前に行われていますが、これは「聞くこと」と「話すこと」が同時に行われているということです。この点については、次回詳しくお話しします。

藤田先生2
藤田 保
上智大学言語教育研究センター教授。専門は応用言語学(バイリンガリズム)と外国語教育。アルクキッズ事業アドバイザーを務める。NPO小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)専務理事。著書に「先生のための英語練習ブック」(アルク)など。

写真1枚目: pixta

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