いったいどこで? 訪日旅行者の驚きの情報収集力

松本美江

全国通訳案内士として各地をめぐり、日本の魅力をガイドする松本美江さん。ここ最近、感じていることを紹介いただきました。


驚きの情報収集力

訪日のお客さまの多くは旅行会社の薦める定番の観光地を訪れているのですが、最近ではご自身で事前に行きたい場所やしたいことを調べる方が増えています。これまでの経験でかなり情報を蓄積しているのですが、「いったいどこでそんな情報を?」と驚かされる場面が増えてきています。

「京都でオムライス?」ガイドも知らないグルメ情報

先日京都をご案内したアメリカのご一家、13歳の息子さんから「有名なオムライスの店に行きたい」と言われて驚きました。これまでもラーメンなどの隠れた名店をお客さまが調べてくることはありましたが、京都にオムライスの有名店があるのは初耳でした。

お気に入りのYouTuberが紹介していたそうで、早速ネットで調べて問い合わせると当分満席とのこと。店の口コミに投稿しているのは、ほとんどが外国人でした。がっかりする息子さんに、それではふわふわのパンケーキの店はいかがと聞いてみたところ、そこも行きたかったそうで満足していただけホッとしました。両方とも、路地裏の目立たない場所にあるのですが、外国人がちゃんとGoogle マップで見つけてくるのに感心しました。

人気急上昇のデジタルアートミュージアム

東京で行きたいスポットとして人気急上昇なのが、お台場にあるデジタルアートミュージアムです。オープンしてまだ1年ちょっとですが、安倍首相夫人がトランプ大統領夫人と行かれたことで日本でも話題になりました。海外では行った人たちがInstagramなどに写真を投稿することで知名度が上がっています。暗い壁一面に数百のプロジェクターで映し出される映像が写真映えするのが人気の理由のようです。

写真映りが決め手

グルメも行きたい場所も、写真映りがいいことが人気の理由のようです。有名な寺社でも人気があるのは伏見稲荷大社のように写真撮影が自由なところです。逆に京都の有名なお寺でも写真撮影禁止のところは、信仰の場だからと納得はしていただけても失望を隠せない人たちもいます。ある撮影禁止の寺でお客さまが熱心に祈られているので、「何を祈ったのですか?」とお聞きすると、「このお寺で写真がオーケーになるように祈ったの」と真面目に言われて苦笑したこともあります。

一過性の日本ブームで終わらせないために

写真映りも大切ですが、ガイドとしてはお客さまの心に残る日本の風景や空気感も楽しんでいただきたいと願っています。同じ情報で多くの人が写真目当てで訪れて、同じような写真を撮って満足する状態は長続きするとは思えません。幸い日本には少し足を延ばせば、まだ日本人でも懐かしい気持ちになるような場所がいくらでもあります。先日訪れた奈良の長谷寺や室生寺もそういう場所でした。情報通のお客さまに負けないように、「ここはガイドさんに教えてもらわなければ知らずにいた」と思ってもらえる場所を一つでも多く見つけて紹介したいと考えています。


文: 松本美江 (全国通訳案内士)
イラスト: つぼいひろき

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