外国籍社員がより活躍するために〜「日本ビジネス異文化研修」デモレッスン〜

日本ビジネス異文化研修

外国籍社員の採用に力を入れる企業が増える中、日本人社員と外国籍社員が相互に異文化への理解を深める必要性が高まっています。アルクでは、「日本人社員と外国籍社員が共に歩み寄り、協働することで、双方にとって働きやすい環境を実現していただきたい」というコンセプトのもと、外国籍社員向け、日本人社員向け、外国籍・日本人社員合同など、さまざまな形の異文化研修をご提供しています。ここでは、企業の人事・研修ご担当者様に体験いただいた、外国籍社員向けセミナーの模様をリポートします。

外国籍社員を輝かせる「日本ビジネス異文化研修」

日時: 2019年6月21日
場所: TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京)
対象: 企業の人事・研修ご担当者様
内容: 外国籍社員向けに日本のビジネス文化・マナーの理解を促すプログラムの一部を、デモレッスンとして体験いただく

講師: ベン トーマス / Bence Tamas (アルク 英語・異文化プログラムディレクター)
2009年日本文部科学省国費研究生として来日、2013年応用言語学博士後期課程を卒業。日本の金融、保険会社でビジネス英語と国際ビジネスコミュニケーションのトレーナーとして勤務。2016年から、アルクにて教材や研修プログラムの開発を行う一方、教員向けに指導力および英語力を向上させるセミナー、研修会の講師を務める。 専門は教育論、言語教育、コミュニケーション、学習モチベーション、学習方法、異文化コミュニケーションなど。


マナーの背景にある「理由」が重要

デモレッスンの講師を務めたのは、これまでにさまざまな企業や大学で異文化研修を行ってきたベン講師。アルクの異文化研修プログラムの開発にも携わっており、「自分自身が日本に来たばかりの頃に知っておきたかったことや、気をつけておきたかったこと」をふんだんに盛り込んだといいます。また、外国籍社員にマナーやルールをただ教えるだけでは納得してもらえないケースもあることから、「その背景にある理由もしっかり説明したい」と話しました。

最初に、同じテーブルに座った参加者同士の自己紹介も兼ねて「30秒で自分の出身地の文化について話す」というアクティビティーを行いました。互いに打ち解けるとともに、「文化」について考えるファーストステップとなったようです。

「見える文化」と「見えない文化」

来日当初、マスクを着用する人の多さに驚いたというベン講師。これは、外国人がすぐに気づくことのできる「見える文化」です。一方、その背景には「周囲への気遣い」という「見えない文化」が存在します。

「文化は、氷山に似ています。普段は水面に出ている部分しか見えないのです」。

ここで、日本の「見える文化」と「見えない文化」にはどのようなものがあるかを考察するアクティビティーを行いました。氷山が描かれた用紙が各テーブルに配られ、参加者は日本の見える文化と見えない文化を付せんに書き出し、水面の上または下に貼り付けていきます。その結果、見える文化としては「道路にごみが落ちていない・お辞儀をする・会議が多い・エスカレーターの片側を空ける・(カフェなどで) 席に荷物を置きっ放しにする」、見えない文化としては「遠慮がち・本音と建前・ルールを重んじる・安全・以心伝心」などのキーワードが挙がりました。

日本ビジネス異文化研修

さまざまな現象に表れる「和」の価値観

ここまでに考察してきた見える文化は、「現象」に言い換えることができます。一方、背景にある見えない文化は「価値観」と呼べます。

「日本のことを何も知らない外国人は、日本人がなぜお辞儀をするのか理解できないでしょう。『お辞儀』という現象の背景には、『相手への敬意』という価値観があります。現象を見るときには、その背景にある価値観を理解することが大切です」と、ベン講師は説明します。

今度は、日本の文化 (現象) を表した写真が各テーブルに配られ、その背景にある価値観を探すアクティビティーを行いました。写真の内容は、「片側を空けてエスカレーターに乗る人々」と「パーティションで区切られていない、整理されたオフィス」の2種類です。前者については「他人への配慮・譲り合いの精神・周りの人に合わせる」、後者については「協調性・チームワーク・秩序を重んじる」といった価値観が表れているという意見が出ました。

2枚の写真はまったく異なる場面を写したものですが、どちらも同じ価値観に基づいています。それが「和」。ベン講師は、「和」の心は日本人の間に深く根付いており、それが「周囲に配慮する」「他人に迷惑をかけない」「自然や物事を大切にする」といったマナーや意識として表れているといいます。しかし、外国籍社員にとって「和」を理解するのは、時に難しくもあるようです。

日本ビジネス異文化研修

文化の違いがマナー違反につながってしまう

日本のビジネスマナーを考えるためのケーススタディとして、ある日本人マネジャーと外国籍社員の事例が取り上げられました。「外国籍社員が会議で人の発言中に質問をしたり、自分の意見を主張して議論したりしようとするため、日本人マネジャーが悩んでいる」という内容です。双方にどのようなアドバイスをすべきかを、グループごとに話し合いました。

実は、この「外国籍社員」はベン講師のこと。かつて、日本人マネジャーとの間にこのような誤解が生じてしまった経験があるそうです。その原因はどこにあったのでしょうか。

「欧米では、会議の目的は基本的に『何かを決める』ことです。そうした場では、自分の意見を素早く言い、相手の意見にもすぐに反応する必要があります。一方、日本企業では情報共有や報告を目的とした会議も多く、相手の発言を遮らないことやアジェンダを守ることが重視されます。このケースのように、文化的な違いがマナー違反につながることはよくあります。だからこそ、現象の背景にある価値観を学ぶことが大切なのです」。

ベン講師自身の体験を元にした話は、説得力があります。

「報連相(ほうれんそう)」がもたらすメリット

最後に、少し変わったアクティビティーが行われました。各テーブルから1名が「見る人」となってある写真を確認し、その内容をもう1名の「伝える人」に言葉だけで伝達します。「伝える人」はテーブルに戻って聞いた内容を話し、残りのメンバーがそれを絵に描くというものです。実際に行ってみると、「見る人」が確認した写真の内容と、メンバーが描いた絵の内容とには大きな相違が出てしまいました。

日本ビジネス異文化研修

これは、報連相 (報告・連絡・相談) の大切さを体験するためのアクティビティーでした。情報を整理して伝えることや、相手の理解を確認すること、質問すること、自分のチームだけでなくほかのチームとも情報共有をすることによって、より正確な伝達につながったはず、と話すベン講師。続いて、報告・連絡・相談をする上でのポイントや報連相がもたらすメリットについて説明があり、デモレッスンが終了しました。

デモレッスン後はアルク企業営業部の舘 健一郎より、異文化研修を巡る状況やアルクの研修内容、企業における研修事例などの説明が行われました。事例では、日本人社員と外国籍社員の双方が研修を受け、チームビルディングや優秀な人材の確保につながったケースなどを紹介。多彩なアクティビティーを通じて会場が活気にあふれる中、全てのプログラムが終了しました。

日本ビジネス異文化研修

研修内容に関するお問い合わせは、アルクまでご連絡ください。

Webお問い合わせフォーム
https://www.alc-education.co.jp/business/apply/

東京本社 03-3238-2870
名古屋支店 052-971-8320
大阪支店 06-6204-4567
福岡支店 092-737-3535
(平日 9:00~18:00、土日祝休み)


取材・文: いしもとあやこ
写真: アルクplus 編集部

関連記事

  1. アルクEDIX 英語学習への動機付けと、4技能評価対応に高い関心 関西初のEDI…
  2. ANAケータリング 多様な人材が生き生きと活躍する職場の実現を目指す、ANAケータリ…
  3. 異文化交流 日本を訪れた旅行者と交流しよう! ――コミュニケーションのはじめ…
  4. ザ・リッツ・カールトン東京 宿泊部 エクゼクティブ クラブラウンジ マネージャー 香取良和さん 海外からのお客さまが増える今、ザ・リッツ・カールトン東京が大切に…
  5. 日揮 グローバル業務に必須の英語力を6カ月で育成。学習サポートにも力を…
  6. 木森隆さん NAFLで体系的に学んで、初受験で合格。日本語教師として共生社会…
  7. おもてなし英語 おもてなし英語を次のステップへ
  8. IMD 世界有数のビジネススクール、IMDの授業を体験【デジタル時代のビ…
PAGE TOP