英語教師 Naoのケニア授業日誌: 第1回 僕がケニアに行くことになったわけ

コイノニア

はじめまして。神奈川県鎌倉市にある中高一貫の男子校、鎌倉学園中学校・高等学校で英語の教員をしている飯塚直輝です。生徒にはNaoと呼ばれています。

この春、ケニアのスラム街に住む子どもたちが通う学校で2週間、思考力と英語表現の授業をしました。なぜ普通の英語教員である僕が、ケニアで授業をすることになったのか。この記事では、ある出会いから生まれたケニアでの授業実践、そして現地での素晴らしい出会いについてつづります。それは普通の旅行や視察では体験できないようなことだと思います。ケニアで子どもたちと一緒に学校生活を送り感じたこと、そこから生まれた学びを共有し、皆さんがケニアの子どもたちに思いをはせられるような内容になればと思っています。


コイノニアコイノニアの子どもたち

ケニアの首都ナイロビへは、成田からドバイ経由で23時間。とても長いように思えますが、初めての国に行く緊張からか「『ライオンキング』で耳にした言葉はスワヒリ語だったんだ」とか「ナイロビは最近テロがあったのか。ちょっと心配だな」とか「来年度の人事はどうなるか」などと考えていたら、あっという間に到着しました。

今回、「コイノニア教育センター (以下、コイノニア)」を運営する市橋隆雄さん、さらさん夫妻を頼って来ました。お二人はこの国で子どもたち一人一人の個性や才能を大切にしながら、社会で生きる上で大切な学力や社会性を教えています。

市橋さんとの素敵な出会い

高校2年生の教材として使っていた『アクティブ・リーディング Basic』(和田 玲 著 / アルク 刊)にお二人の挑戦が収録されていて、何度も授業で扱っていました。あるとき、英語教師向けのセミナーで授業例を発表することになり、さらには著者の和田先生が講演、来日していた市橋隆雄さんがコイノニアについて話すコラボ企画となりました。

コイノニア(左から)和田先生、市橋さん、筆者

僕が初めて市橋さんにお会いしたのはこのときですが、心に決めていたことがありました。それは「コイノニアを訪れる」こと。

発表の準備で学校や夫妻について調べるうちに、お二人の理念や思いに共感する部分が多く、実際に現場を見てみたいという思いが強くなりました。そこで発表後、市橋さんに行っていいかを尋ねると「いいよ!」と快諾してくださったのですが、条件がありました。「来るのは1週間じゃダメ。2週間滞在しないと何も分からないからね」。

この一言で、春休みに行こうと思った計画を断念しましたが、幸運なことに昨年度は学期担任もなければ試験のある授業もなかったので、校長や先生方にお願いしご理解いただけたことで機会を得ました。同僚にはうらやましがられたり心配されたりもしましたが、貴重な経験となったのは間違いありません。

スラム街で生活する子どもたちへの教育

コイノニアは2003年、ナイロビのスラム街に隣接する場所でスタートしました。現在は、より良い教育環境を求めて、街の中心から車で1時間ほどの距離にあります。将来的には、子どもたちが伸び伸びと学びに集中できるような寄宿学校が建設できる場所への移転を予定しているそうです。

コイノニア

現在の校舎は教会だった建物で、面白い構造をしています。階段や小さな部屋が多く、自由時間には子どもたちが大人の目から隠れて遊ぶのに最適です。ケニア特有の赤土にまみれながら、子どもたちは朝も昼も校舎の中、外で元気に遊んでいます。生徒数は50名弱で、8歳から18歳の子どもたちが学んでいます。

多くの子どもがスラム街から登校していて、親がいない子、親はいても育児放棄されてしまった子とさまざまです。共通して言えるのはかなり貧しいことですが、だからと言って子どもたちが惨めで悲惨な思いをしているわけではありません。彼らはとても素直で、明るく優しい。学びに意欲的で、夢も持っています。このことを共有した上で、僕が2週間で学んだコイノニアのこと、子どもたちのこと、ケニアのことを、このレポートでお伝えしていければと思っています。

第2回「コイノニアが才能を見つけてくれたの」を読む >>

文・写真: 飯塚直輝先生(鎌倉学園中学校・高等学校 教諭)
2010年より同校に勤務。2014年からESS同好会「鎌倉学園ESS」の顧問を務める。“言語を通じて、生徒の心を揺さぶり、人間的な成長を促す”をモットーに、授業のみならず学級運営や特別活動などにおいても、常に生徒の表情の変化が絶えない実践を目指し奮闘中。

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