羽田エアポートエンタープライズが全スタッフに実施する英会話研修【レッスンレポート付き】

羽田エアポートエンタープライズ

国内線ターミナルを利用する外国人客の急激な増加に伴い、英語で対応する場面も増えています。全店舗スタッフに実施する英会話研修について、品質管理部 品質管理課主任の村松有里子さんにお聞きしました。

株式会社 羽田エアポートエンタープライズ
日本空港ビルデング(株)の100%出資会社。同社店舗の運営を受託し、羽田空港、成田空港、関西空港という日本を代表する空港で、お土産、服飾雑貨などのショップやブランドブティックなど、総計102店舗の運営を行っている。販売スタッフの独自採用、接客品質の向上、接客コンテストの実施、資格取得制度、海外研修など、人材育成への取り組みも活発。羽田空港オリジナル商品や、タイアップ商品の開発などを含めて、多角的に事業を拡大中。
http://www.haneda-ae.co.jp/


国内線ターミナルの店舗でも英語の接客が急増中

――空港内ショップの運営を広く手がける御社ですが、店舗スタッフの語学研修はこれまでどのような取り組みをしていますか?

村松 成田、羽田両空港の国際線ターミナル内店舗を中心に、英語、中国語、また外国人スタッフへの日本語教育を行ってきました。一方、羽田空港の国内線ターミナルについても2年ほど前に、いよいよ店舗スタッフの研修が必要だということになりました。国内線を利用するインバウンドのお客さまがどんどん増えていますし、さらに東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国内線第2ターミナルに新しく国際線施設ができるので、英語による接客がますます避けて通れなくなってきているからです。

――国際線だけでなく、国内線ターミナルのショップでも、英語が必要な場面が増えているのですね。

村松 はい。当社が運営する店舗には、自社の社員だけでなく、メーカーのスタッフさんが大勢勤務しています。国内線ターミナル内の店舗では、パートやアルバイトの方も含めて1000名を超える人たちが働いていますから、英語が話せるスタッフと苦手なスタッフの個人差がとても大きいのです。

実態を調査してみたところ、あいさつは何とかできるものの、接客英語が全く出てこないという人が少なくないことが分かりました。だから外国のお客さまに話しかけられそうになると、スッとその場を離れたり、困った表情が顔に出てしまったりするのです。まずは全員、英語への恐怖心を払拭し、外国からのお客さまの接客に慣れてもらいたいというのが、今回の研修の目標でした。

羽田エアポートエンタープライズ

店舗裏に集まって『キクタン接客英会話【販売編】』でレッスンを実施

――国内線ターミナルの店舗スタッフに向けた研修を導入するに当たり、どのような点に注意しましたか?

村松 まずトライアルで、接客英会話研修の「SMILE!」をやってみたのですが、ハードルが高いと感じる人が少なからずいました。弊社としてもこの研修では、英語のあいさつや簡単なご案内など、一次対応ができるようになることが目標だと考え、アルクさんに相談して提案いただいたのが、『キクタン接客英会話【販売編】』を使った研修です。

『キクタン』では、お客さまを迎える、レジ対応、一般的な接客に関する英語表現、各業種で知っておくと便利な表現を学びます。その中からさらに、当社店舗でよく使うフレーズを私のほうで選び出し、内容を絞り込むことにました。例えば館内マップを示しながら場所のご案内をするとか、英語を話すスタッフを呼びに行くとき、”Let me call someone who speaks English well.”と言うとかですね。

――そうして始まった研修は、現在どのような形で実施していますか?

村松 3カ月1クールで週3回、エリアごとに決めてあるスポットで30分程度のレッスンを外国人講師にお願いしています。毎回だいたい午後1時から4時半くらいの間で、羽田第1・第2ターミナルビル内の研修スポットのうち、2、3カ所を、時間割に沿って講師にまわっていただく形です。

毎回、店舗裏の廊下や、カートや段ボール箱が置かれた一角に、周辺店舗で参加できる人がパッと集まり、制服やエプロン姿のまま、レッスンを受けています。現在、およそ500人が受講していますが、途中から参加する人もいれば、途中で売り場に戻る人もいます。忙しい店舗スタッフの研修ですから、こうした緩やかなスタイルは、現場の実情にとても合っていると思います。ただ、タイミングが合わなくて、なかなか研修に出られない人もいますので、全員で行なう朝礼などの際に習ったフレーズをみんなで練習することもあります。

羽田エアポートエンタープライズ

英語への抵抗感がフロア全体で薄らいできた

――これまで3クール実施してみて、どんな評価をお持ちでしょう。

村松 『キクタン』は、単語、ダイアログ、ロールプレイという3ステップで会話が練習できる書籍です。あらかじめアルクさんと相談し、当社店舗で必要なフレーズを選択して、レッスンを実施しています。仕事と直結する内容を詰め込み過ぎずに学習できる点が、まず良かったと思います。講師は毎回、出身国も年齢も性別も違う方が来てくださいますが、これも空港で飛び交うさまざまな英語に慣れてもらう上で好都合です。

最初は緊張と恥ずかしさとで、なかなか声が出なかったスタッフが、いつの間にか堂々と会話の練習をしていたりして、変わってきたなあと思います。各店舗でも、外国人のお客さまに対してにこやかに接する姿や、単語を並べて館内施設をご案内する姿が増え、進歩を実感しています。
 
――研修に参加した方の感触はいかがですか?

村松 参加者にも好評です。「すぐ使えるフレーズが習えてよかった」「他店舗のスタッフと一緒に研修を受けるので、英語を使うことへの抵抗感がフロア全体で薄らいできた」「カタコトでも英語で接客できるようになってうれしい」「空港ならではの英単語が学べて役立った」など、前向きな声がたくさん寄せられています。「テキストには長文で書かれているけど、この一部分だけでもちゃんと伝わりますよと先生に助言され、肩の力が抜けた」という人もいます。

全体的に「そうか、この一言で伝わるんだ!」という反応は大きかったですね。最初に目指した通り、「英語は難しい」という先入観がだいぶ取り払われてきたのではないかと思います。

羽田エアポートエンタープライズ

着実なステップアップを目指したい

――研修などについて、今後計画されていることはありますか?

村松 2018年1月にトライアルをスタートしてから1年と少し。「お店のすぐ裏で、英語の研修をやっているよ」ということが今では定着してきて、みんなが自然に参加する環境になってきたと思います。

第一回目の研修の際、講師に語学アプリ「ALCO(アルコ)」を紹介してもらったので、スマホに教材の音声をダウンロードして好きなときに勉強することもできます。

次の段階として、アルクさんに作っていただいた英語チェック表、レベル表を導入して、実際に自分がどのくらいのレベルなのか、スタッフ自身にも確認してもらう予定です。接客業の人を対象にした「英語応対能力検定」も活用して、みんなの実力を把握することも検討していますが、まずは今やっている英語研修への参加を通じて、一歩ずつステップアップしてもらいたいと思っています。

【レッスンレポート】研修場所はバックヤードだから、すぐに参加できる
1回30分の英会話レッスン

羽田空港国内線第2ターミナルの午後2時過ぎ。出発ロビーの店舗裏で行なわれる英会話レッスンに、周辺の店舗から一人、また一人と、仕事の合間を縫ってスタッフが集まってくる。10回ワンクールの研修の、今日は最終日。これまで習ったフレーズの復習を行なうという。

最初の数分間は、ネイティブ講師の後に続いて発話の練習。続いてテキストやプリントを手に、ロールプレイにチャレンジ。参加者同士が、お客さま役と店員役になりきって、「お店でありがちな会話」を何度も練習する。

“Could you tell me where the toilet is?”
“I’ll show you with the floor map.”
一人一人が自分の店舗を想定しながら話している。そんな様子が、熱心な口ぶりからよく伝わってくる。

いすも机もないバックヤードでの研修は、講師も参加者も立ったまま。だがそれも気にならないほど没頭できる中身の濃い30分間だ。

羽田エアポートエンタープライズ“Hello, Sir. Are you looking for something in particular?”
始めは長くて難しく思えたフレーズが、今ではすらりと口から出てくる

羽田エアポートエンタープライズ
羽田エアポートエンタープライズ 品質管理部 品質理課主任(販売インストラクター)
村松有里子さん

1999年に日本空港ビルデング(株)に入社。2004年の分社化で(株)羽田エアポートエンタープライズに出向。10年間を羽田空港・国内線ターミナルビル内の店舗に勤務。豊富な接客対応経験を得た後、品質管理部に異動して現職。新入社員への研修を始め、各種の社内研修に携わる他、海外の空港への出店に際しては、現地へ赴き地元スタッフの接客教育を行なうことも。

◆3800社の英語教育プログラムに採用された、成果が出るアルクの企業向け研修
プログラムの内容や導入事例は、コチラをご覧ください>>


取材・文: 田中洋子
写真: 横関一浩

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