東京メトロ浅草駅構内で、通訳や駅周辺の道案内、乗り継ぎ案内を行うボランティア団体「ハートフルジャパン」のスタッフが、食にまつわる体験をご紹介します。
すし、天ぷら以外も食べたい!
「これから食事をするのでお勧めのレストランを教えて」と尋ねられることがあります。食事は人によって好みが違うので答えるのもなかなか難しく、私たちは特定のお店を紹介することは控えています。まず和食か洋食か、どんな種類のものを食べたいのか伺うようにしていますが、浅草周辺はそれこそお店がたくさんあるので1つ選ぶのも難しいのです。
「すし、天ぷらはもういいわ。昨日、一昨日と連日食べたから」と言う方は、ある団体の交流事業で来日して、日本側の接待でおすしや天ぷらといった、いわゆる典型的な「ザ・日本食」を振る舞われたのだそうです。揚げ出し豆腐が食べたいそうなので、ランチ営業している居酒屋さんを紹介しました。いつもおすしや天ぷらが喜ばれる訳でもないようです。
なお、お店によってはメニューが日本語だけの場合もあるので、店頭に展示されている食品サンプルを見て食べたいものを注文するといいですよ、と私たちは伝えています。自分の目で見て確認できるので、安心して注文できます。
食品サンプルといえば、制作体験できるお店もいくつかあります。日本人はもちろん、海外の方にも人気のようで、食品サンプルをお土産として購入する方もたくさんいます。私も以前、ケーキが付いたストラップを外国人の方に差し上げてすごく喜ばれました。
甘いお豆はNG!?
大分前のことですが、職場の外国人におまんじゅうやたい焼きなどに入っているあんこが苦手だと言われたことがあります。海外ではベイクドチリビーンズなど豆が甘くない国もあり、抵抗感があったようです。
最近は、おまんじゅうやたい焼きを「おいしい!」と言って口にする外国人を目にするようになりました。日本食の認知度が高まり、味覚も変化してきたのでしょうか。「甘い豆」は人気者になってきています。ちなみに、たこ焼きも20年ぐらい前はタコの食感を嫌がる人がいましたが、今では人気のようですね。
それぞれの違いを理解して
最近はハラール対応レストランの場所を尋ねられることが増えてきました。やはり、宗教的に食べられないものはうっかり口にしたくない、という気持ちから、安心して食事のできる場所を把握したいのでしょう。
昨今の日本食ブームで、海外各地に日本食らしき物を見掛けますが、材料が分からず口にして大丈夫か悩む物もあったりします。私たちが海外で日本食を食べたくなった時、どこに行けばいいのか分かれば安心できるのと少し似ているのかもしれません。
以前、お祭りの屋台で売っていた焼きそばの食材が分からず、ちゅうちょしていた外国人の方を見かけたので、豚肉が入っていることを説明すると「それじゃダメね」と立ち去りました。
使っている食材の表示があると、もっと安心して屋台の食事を楽しむことができると思いました。相手の立場に立ったご案内で喜んでいただけたらいいなと思います。
文: ハートフルジャパン……一緒に活動いただける方を募集しています! 詳しい情報は、ホームページをご覧ください。
イラスト: つぼいひろき