訪日観光客にも人気のロフトが進めるインバウンド対策

ロフト

訪日観光客の増加に伴い、売り上げに占める免税の割合も上昇する生活雑貨専門店ロフト。主に英語が必要となる場面が、会計精算時のやりとりです。教育訓練担当所属のトレーナー、山口文子さんに、英語教育の取り組みを聞きました。

株式会社ロフト
美容・健康雑貨、文具雑貨、バラエティ雑貨(ホビーやギフト雑貨)、生活雑貨(家庭用品やインテリア)に加えアート領域雑貨など、ハイセンスで多彩な生活雑貨を扱うショップ「ロフト」を運営。2019年2月現在、直営店とフランチャイズ店を合わせて国内115店舗を展開している。タイ・バンコクにもフランチャイズ店がある。
https://www.loft.co.jp/


社内メールで英語のフレーズを配信

――ロフトさんでは、たくさんの海外のお客さまが買い物を楽しんでいますが、売り上げに占める規模を教えていただけますか?

山口 海外からのお客さまはどの店舗にも来店されていますが、免税での売り上げとしては、大阪のなんばロフト、東京では渋谷ロフトと銀座ロフトの扱いが多く、免税売り上げの割合は季節にもよりますが、15~20パーセント前後に及びます。

――訪日客の増加を受けて、社内の英語教育にはどのように取り組んでいますか?

山口 当社で免税対応が始まったのは2014年で、英語の必要性もちょうどその頃から高まってきました。そこでまず、接客に役立つ英会話のフレーズを社内メールで配信しましたが、周知徹底には至りませんでした。

免税対応用に作成した指差しボードは、免税手続きに役立っていますし、接客英会話の力を測る「英語応対能力検定」用の学習機も通信教育のメニューとして提示しています。そして昨年、アルクさんの接客英会話研修「SMILE!」を弊社用にカスタマイズしていただき、英会話研修がスタートしたところです。

すぐに使える接客表現が学べる英会話研修

――「SMILE!」採用の決め手は何でしたか?

山口 まず接客に特化されていて、使い勝手がよいことですね。加えて、当社の業種に合わせてカスタマイズしたテキストと内容で、研修を行っていただけたことです。

研修そのものについては、ネイティブスピーカーと日本人の講師の2名体制で指導していただけるのが魅力でした。参加者は分からないことがあっても、英語でうまく質問できるとは限りません。そのタイミングで日本人講師にサポートしていただけるのは、とても心強くてありがたいと思いました。

――研修プログラムのカスタマイズに関しては、どのような希望を出されましたか?

山口 ロフトでは、1対1でお客さまにアテンドすることは多くありません。通常は、お会計をする際のコミュニケーションが中心ですので、レジ接客に関わる必要最低限の英語に絞った内容を希望しました。目標は、お会計に関わる英語のフレーズを習得し、海外のお客さまに対して、自信を持って迅速かつフレンドリーな対応ができるようになることです。店舗からのヒアリングをもとにアルクの担当の方と綿密な打ち合わせを重ね、取り上げるシチュエーションや、どのような会話を練習するかを検討し、店舗の実情に即したコンテンツを決めていきました。

研修ルームには、店舗と同じレジが設置されている

――実際の研修は、どのように行われたのですか?

山口 レベルとニーズ別に「初級編」「中級編」「免税特化編」の3つの研修を用意して、主に免税対象店から希望者を募り、通算17回開催しました。およそ230名がいずれかの研修に参加しました。

1回の研修は約3時間。その中で、「お支払い」「ラッピング対応」「免税」の3項目について、スキットや会話練習を通して集中的に学びました。支払い方法や包装の希望をお客さまに尋ねる言い方や、クレジットカードの使用可否、免税の条件についてお客さまに聞かれたときの答え方などですね。3項目には入らないけれども、知っていればきっと役立つような表現も、研修テキストのUseful Phrasesというセクションにたくさん入れていただきました。

英語にも、外国人に対しても、緊張がほぐれてきた

――参加した皆さんの感想や成果はいかがでしたか?

山口 「分かりやすくて楽しかった」「明日から業務で使ってみようと思う」「発音もしっかり教えてもらえてよかった」「英語に対する苦手意識が前向きに変わった」と、ポジティブな感想がたくさん得られました。

ネイティブスピーカーの講師に教えていただいたことも、大変刺激になったようです。「こういうとき、英語で何と言えばいいのだろう?」と、ずっと気になっていたことを質問してみたら、その場でシンプルな英語表現を教えていただけたと、とても喜んでいました。

私としては英語力以前に、海外のお客さまや英語のコミュニケーションに対して、みんなの緊張がほぐれたことが一番の収穫だったと思っています。以前は、売り場から事務所に駆け込んできて、「海外のお客さまが、何かおっしゃっているんです!」という事態が時々ありました。何事かと思って行ってみると、クレジットカードが使えるかどうか知りたいだけだったりするのです。お客さまに何か聞かれるたび、慌てて英語が話せる人を探すことが、研修後の売り場では少し減ったように思います(笑)。

「研修で習ったフレーズを一つずつ朝礼で紹介して、みんなで練習しようと思う」という店長もいれば、研修テキストをレジに常備して、インバウンドの接客に活用している店舗もあるようで、大変うれしく思っております。

ロフト動画コンテンツの1シーン。全スタッフが好きな時に視聴できる

動画コンテンツで全店舗に学習機会を広げる

――研修の後で、eラーニング用の動画コンテンツも作られたそうですね。

山口 実は研修参加者の声がきっかけです。1回研修を受けたらハイ終わりではなく、復習やこの先の学習につなげたいという意見が多かったのです。全国の店舗からも、シフトの関係で思うように研修に参加できないとか、免税店でなくても海外からのお客さまが来店するので英語が必要だといった声が数多く寄せられました。こうした要望に応える形で、再びアルクさんの協力で社内用のeラーニング(動画コンテンツ)を作成したのです。

これは、より多くの人に利用してもらうための入門編であり、基本的には研修で作ったテキストの内容を踏襲しています。研修同様、動画にも「お支払い」「ラッピング」「免税」の3本があって、長さは1本につき10~15分程度。それぞれが、フレーズ学習、動画スキット、発音練習、発話練習という流れで構成されています。これを社内イントラにアップして、社員からアルバイトまでロフトで働くおよそ5000人が、各店舗で自由に学習できるようにしました。

――英語学習の気運はますます高まりそうですね。最後に、海外のお客さまへの接客で大切なこととは何か、山口さんのお考えをお聞かせください。

山口 まず日本人のお客さまと同様に、外国のお客さまにも気持ちよくお買い物をしていただけるよう、対応することだと思います。そのために、必要最低限の英語を理解していることと、伝えようとする努力が大事ではないでしょうか。その意味で、研修のときに講師が話してくださった、「スマイルとジェスチャーがあれば、英語は少しでも大丈夫!」という言葉は、今でも印象深く心に残っています。

ロフト
株式会社ロフト 営業推進部 教育訓練担当トレーナー
山口文子さん

1987年に西武百貨店に入社し、趣味雑貨部に配属後、同年11月にオープンした渋谷ロフトへ。1996年ロフト事業分社化により、株式会社ロフトに転籍。マネジメント業務などを経験後、2009年9月より横浜ロフトのトレーナー。その後、本部の教育訓練担当所属のトレーナーに。直近では、実務に関する豊富な知見と英語力を生かし、社内用の英会話動画教材の開発にも貢献。プライベートでは、ジャズボーカルのレッスンを楽しんでいる。

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取材・文: 田中洋子
写真: アルクplus 編集部

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