【英語の先生向け】夏休み海外研修レポート:イギリス(7・最終回)

高橋みどりさん

世界各国から集まる英語の先生のための夏季研修プログラム「Develop Your Professional Teaching Skills」に参加した、高橋みどりさん(愛知県立刈谷北高等学校)のレポートの最終回です


研修中は常に学んだことを「どう授業に応用できるか」考え、シミュレーションしていましたが、迷うこともありました。私は現在「コミュニケーション英語Ⅱ」と「総合的な学習の時間」を担当しています。前者は、スタッフ全員で共通のハンドアウトを同じ手順で進めるため、一人だけ別の活動を持ち込むと足並みがそろわなくなる問題がありました。また、急に新しい視点での活動を入れることにも慎重になってしまい、まずは単独で進める「総合的な学習の時間」で2回取り組みました。

Creative Writing ①: テーマ「アクロスティック・ポエム」

Kindly you gave me
A wonderful present.
Really? Isn’t this a dream?
I cannot believe.
You are so kind.
Always you have been so cool.
Keeping a distance from me
I am afraid
This is just a dream and
All things will be gone

アクロスティック・ポエム は、各行の最初の文字を上から読むと意味のある単語になる詩のことです。生徒に自作の詩を見せて朗読し、気付いたことがあるかどうかを聞くと、「始めの文字を上から読むと刈谷北(本校の名前)だ」。感嘆の声が上がりました。私は「次は君たちが作る番です」と言って、条件を2つ与えました。
① 5行以上あること
② 文頭の文字を上から読んだとき、意味のある単語になっていること

これさえ守れば、詩としての自由な発想を重視し、正しい英文と語順が多少違っていても、意味やイメージが伝わればOKとしました。普段、彼らが取り組むエッセーライティングとは違う趣があり、新鮮だったようです。どの生徒も一生懸命取り組み、力作が集まりました。特に感心させられたのは、縦文字と内容に関連をもたせて、縦文字がタイトルになるものがいくつかあったことです。「理系の私たちに詩なんて無理」と言っていた生徒が、生き生きとした作品を作ったことはうれしい驚きでした。いくつか原文のまま紹介します。

生徒A
See signs of spring
Eating shared ice in summer festival
All the leaves have turned red in fall
Snow covers the ground in white
Old leaves dropped and
New leaves and buds sprout up in the spring

生徒B
A letter was sent.
Read the message.
“I have to move far away.
Goodbye.”
An old woman cried and said
“Thanks until now,”
One day, someone knocked the door.
Undoubtedly, the girl is standing by the door is her.

生徒C
All information is in this machine.
Nothing is impossible.
Do you have one?
Recently I got it
Other things are not necessary for me now.
I think we can’t do anything without it.
Don’t you?

高橋みどり先生

Creative Writing ②: テーマ「mirror words(鏡言葉)」

鏡言葉は逆に読んでも意味が成り立つ単語のことで、つづりを逆にしたら発音も鏡になるもの (raw-war)、つづりは鏡ではないが発音が鏡のもの (kill-lick)、つづりは鏡だが発音が違うもの (now-won) の三通りあります。

練習問題で概念をつかませた後、実際にセンテンスを作ります。生徒には独立した文の羅列でもいいが、できれば相互に関連したストーリーを目指すよう伝えました。やってみて分かったのは、母音の発音を正しく理解していない(長母音と二重母音の違いを区別していないなど)生徒が少なからずいたことです。これは私にとっても大きな発見であり、単語のつづりと発音にあらためて生徒の目を向けさせるきっかけになりました。クラスで一人か二人は、まとまった文章作りにも挑戦しており(実は鏡言葉でないものがあり、惜しい仕上がりでしたが)高校生の自由な発想に刺激を受けました。

英語教員向けセミナーでの発表

今回の学びを別の形でも生かそうと、1月4日から6日に函館で行われた「北の英語大学」(立命館中学・高校の今井康人先生が代表を務める英語教員のためのセミナー)に志願して、20分間の模擬授業をオールイングリッシュで行いました。

対象: 高校1年生の年度はじめ
目標:
①お互いのことを知り合うきっかけにする
②自己肯定感を高め、自分と相手を好きになる
③形容詞の概念を理解し、クリエイティブライティングの基礎を実践する
授業の流れ:
1. ペアワーク。アルファベットで名前と自分にとって重要な数字を書き、パートナーと数字について質問し合う。

数字を選んだ理由を探ることで、互いを知るきっかけになる

2. Hakodate is の後に単語を加えて文を作ることで、形容詞の概念を確認。
例)
T: Hakodate is …
S: great.
T: Hakodate is …
S: famous.
このgreat、famousが形容詞であることを生徒に伝え、形容詞のリストを示す。

3. “Is Hakodate big?”のように、リストの形容詞について生徒に問い掛ける。Yesならそう言って右手を挙げる、Noなら左手、分からなければ何もしない、の三択で答えさせ、生徒の反応を見る。

4. リストの形容詞をpositive、neutral、negativeに分ける。パートナーと確認した後、教師は解答例を提示する。このとき、sound、lightのように名詞のほうが生徒になじみがある場合、具体例を示して違いを説明する。

5. 1の紙のアルファベットの横に、同じ文字で始まるポジティブな形容詞をできるだけたくさん書く。
例) MIDORIの場合 M→marvelous、I→intelligent、D→diligent

6. “Midori, you are marvelous.”のように、パートナーの名前、you areに続けて、5の形容詞を心を込めて言う。生徒はこの言葉を聞くことで幸せを感じ、自分を好きになり、自己肯定感も高まる。

7. ポジティブな形容詞を多数使ったアクロスティックポエムを見せ、同じように詩を作る。
例)
Happy, happy new year!
All things are bright.
Kind people are around me.
Opening a door to a new life,
Delightedly I will sing
A song of my joy.
Tomorrow I will find myself
Entirely renewed and refreshed.

テーマにした「形容詞とポジティブ」、一連の流れの意図が伝わったように感じました。「笑顔で授業が進められ、とても幸せになれた」「楽しく語彙を増やし、かつ定着させるいい活動だと思った」「英語が得意でない生徒も発想や芸術的センスを示して輝く可能性がある」「英語の指示の出し方が分かりやすかった」などのフィードバックを頂き、達成感を得ました。何より、この様子を写真とともにAnna先生と仲間(自分たちでCreative Ladiesと名乗っています)に送ったら、inspiring!とメッセージがもらえてとてもうれしかったです。

高橋みどりさんとAnna先生左が筆者、右がAnna先生

研修・発表で得たことを生かして

三学期になってからは、コミュニケーション英語の授業でもウォーミングアップ、新単元の導入、発問の仕方などに必ず一日一つ新しい工夫を取り入れるようにしています。「特別な活動をするぞ」と構えなくても、こつこつと小さなアイデアを積み重ねれば、それが研修の成果なのだと気付きました。生徒に詩やストーリーを「創作」させることだけがcreativeなのではなく、生徒が生き生きと楽しみながら英語を身に付けられるよう教師が知恵を絞って創意工夫することが本質なのだと感じますし、それこそがAnna先生が伝えたかったことだとも思います。

私のcreativityへの道はまだまだ先が長いですが、失敗を恐れず、常に目の前の生徒にとってよりよい方法を考え、一歩一歩進んでいこうと思います。

今回レポートをまとめる機会をいただいたことで、貴重な振り返りができました。読んでくださった皆さまと、サポートくださったアルクのスタッフの皆さまに心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

高橋みどり先生


英語の先生のための海外研修と海外実習についてのお問い合わせは、アルク留学センターへどうぞ。

アルク留学センター 英語の先生海外研修サポート担当
Tel: 03-3556-1325(月~土 10:00~18:00)
E-mail: jr-study@alc.co.jp
https://studyabroad.alc.co.jp/


文・写真: 高橋みどり

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