【英語の先生向け】夏休み海外研修レポート:イギリス(5)

British Music

世界各国から集まる英語の先生のための夏季研修プログラム「Develop Your Professional Teaching Skills」に参加した、高橋みどりさん(愛知県立刈谷北高等学校)のレポートを7回に渡り、お届けします


午後のオプション授業にも面白いものがありました。コアプログラム(Core Programme)は2週間継続して同じメンバーで学ぶことから交流が深まりますが、講座ごとに先生もメンバーも変わる授業も刺激になりました。私が選択したコースとワークショップです。

1. Contemporary English

英語の「本家」イギリスでも、若者を中心にコンピュータやゲーム、インターネットなど、アメリカ文化の影響を受けて日常で使われる英語が大きな変化を遂げています。教師もその変化に敏感になり「正しい」と思っている英語をアップデートしましょう、という講座でした。ここで示された例は、正式な試験で評価されるかは別としても、日常の中ではどんどん受容されているそうです。

【1】許容される表現
I went to quickly buy some milk.(不定詞のtoと原形が離れる形)
I’ve been wanting to talk about it for ages.(状態動詞の進行形。ただしknowは除く)

【2】付加疑問文の最後をright?、eh?に置き換える
You’re French, aren’t you? → You’re French, right/eh?

【3】likeの多用
He’s like, “It’s boring! I hate chess!” and I’m like, “Please teach me!”

【4】verbification (動詞化)
to email, to googleなど、名詞を動詞として使用
※SNSの台頭により、今まで名詞だった語が動詞 (友達から削除する → to defriend)、動詞だった語が名詞 (いいね → like)に。

2. Using Poetry in the English Class

Acrostic poems

各行の最初の文字を、上から読むと意味のある単語になる詩を「アクロスティック・ポエム」といいます (日本のあいうえお作文や折句に近い。上の写真を参照)。この授業では、最初にペアと協力して頭文字がW、E、L、C、O、M、Eになるアクロスティック・ポエムを作りました。

続いてイギリスの詩人、ロジャー・マックガフの“Beguiling”を2行ずつにばらした後、ライムと意味の両方を手掛かりに組み直す活動、ワーズワースの”I Wandered Lonely as a Cloud”を音読しながらリズムを体感する活動、数カ所がブランクになったエミリー・ディキンソンの”Hope”を予想する活動などの他、詩を通して生徒に考えさせる活動が紹介されました。

poem

上の絵の2人について詩を作る、6種類の絵から好きなものを選び、ペアと協力して詩を作る活動もしました (私たちはとてもロマンチックな作品を作りました)。

詩の授業というと、レトリックを学んで古典作品を解釈するような展開になりがちですが、このようなワークを通して古今の名作に親しみ、オリジナルも創作することで、クリエイティブ・ライティングにつなげられます。もともと私は詩が好きですが、単なる趣味や教養としてではなく授業に生かす方法を見つけられ、特に印象に残りました。帰国後すぐ授業に応用しました。

3. Creative Writing (especially for people who think they might not be very creative)

まず利き手でない手を使ったり、目を閉じた状態で文を書き取ったりする活動から始まりました。当然難しいのですが、「取り組む間、皆さんは他のことを考えずに集中していましたね?」と言う講師に、はっとさせられました。生徒を集中させ、comfort zone (心地よい場所) から一歩踏み出させるきっかけを与える活動だからです。

続いて、mirror words (鏡言葉) を使って詩を作りました。逆に読んでも意味が成り立つ単語のことで、つづりを逆にしたら発音も鏡になるもの (raw-war)、つづりは鏡ではないが発音が鏡のもの (kill-lick)、つづりは鏡だが発音が違うもの (now-won) の三通りあります。

feel-leaf、deer-reed、bomb-mob のようなリストを作り、各自好きな鏡文字のペアを3つ選んでセンテンスを作ります (I feel lonely when I see a leaf fallingは私一人、ペアでは I feel sick when you kiss meと作りました。後者はクラスで大爆笑)。次にグループになり、それぞれの作品を組み合わせて詩や物語を作りました。

ペアの片方が自分のかばんの中にあるものになったという設定で、パートナーが質問をして (Where were you born?、How did you get here?、What have you experienced on your trip?、What are you afraid of?)、正解を当てます。最後に詩にまとめる活動をしました。

また、ある有名人について、If she were a fruit, she’d be …、If she were an animal, she’d be …と仮定法でいくつか文を作りながら、他のグループに正解を推測させる活動もしました (私たちはおそれ多くもイギリスの現女王、エリザベス二世で詩を作りました)。個人、ペア、グループで出したアイデアが、詩やストーリーになる過程は興味深いです。

4. Warming up, filling in, winding down and rounding up: simple activities that will help your language lessons run more smoothly

授業は歌から始まり、講師がこう言いました。「タスクが3つあります。1. まず楽しみリラックスして聞くこと。2. この歌に関連するトピックを扱うので、それを予測すること。3. なぜこの歌とトピックを選んだのか考えること」。

YouTubeでエド・シーランの“Castle on the Hill”を再生。home、familyといったキーワードを引き出した後、familyに関する語彙のハンドアウトが配られ、sibling、an only childなどの語句、to fight like cat and dogのような家族関係を語るときに使うイディオムを学習しました。適語当てゲームの他、盛り上がるだけでなく生徒を落ち着かせ、集中させる活動も紹介されました。例えば、誰もがわくわくする「休暇の始まり」をテーマに、目を閉じ、想像させるといった内容です。

なお、ESLの授業などでは、聞き取る力がなくても字幕付きの映像であれば歌の世界に入っていける、というアドバイスがありました。

ハリー・チェイピンの少しほろ苦い曲”Cat’s Cradle”で、家族に関する質問と答えをペアと共有し、まとめの活動をしました。振り返ればいろいろな活動をしながらも、テーマが一貫していて参考になりました。

その他の授業

Cultural Talksは、British MusicとYouTubers and youth in the English-speaking worldを選択。イギリスの今を伝える文化について学べました。また、Plenary Talk (外部講師による講演会) は人を引きつける語り口が印象的でした。どの講師、先生もとても話しがうまく、話し方という点でもたくさんのお手本を見ることができました。


英語の先生のための海外研修と海外実習についてのお問い合わせは、アルク留学センターへどうぞ。

アルク留学センター 英語の先生海外研修サポート担当
Tel: 03-3556-1325(月~土 10:00~18:00)
E-mail: jr-study@alc.co.jp
https://studyabroad.alc.co.jp/


文・写真: 高橋みどり

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