【英語の先生向け】夏休み海外研修レポート:イギリス(4)

ケンブリッジ

世界各国から集まる英語の先生のための夏季研修プログラム「Develop Your Professional Teaching Skills」に参加した、高橋みどりさん(愛知県立刈谷北高等学校)のレポートを7回に渡り、お届けします


コアプログラム(Core Programme)の授業について、2週目後半をレポートします。

発音、テクノロジーの活用について(水曜日のテーマ)

聞き分けが難しい音は、学習者の母語によって違います。例えば日本人学習者には難しい[l]と[r]の区別は、他国の学習者にはそれほどでもない一方、日本人にはさほど難しくない[v]と[w]の判別が難しい学習者もいます。それぞれの母語に合わせたターゲットを意識した上で、Pronunciation Games (Mark Hancock)などの参考文献から、いろいろな活動例を学びました。また、テクノロジーを授業に活用するのに有用なサイトやアプリを紹介する時間もありました。生徒はデジタルネイティブなので、教師として最新技術の進歩についていこうとする努力が必要だとあらためて感じました。

発音

活動アイデアをシェアする(木曜日のテーマ)

私たち研修生が自分の知っていること、行っていることをシェアする時間です。ドイツから来たCarinaは、授業での詩の扱い方を紹介(今回の研修では、はからずもpoetryがキーワードになりました)。アメリカの詩人、E. E. カミングスの詩を朗読して浮かんだイメージを描く活動をしてから、詩におけるリズムやライムを生徒に説明します。その後、Sarah Kayという詩人がWhen Love Arrivesを男性(Phil Kaye)と朗読する動画を見せてもらいましたが、これは教えてもらえて本当によかったことの一つです。

ギリシャ出身のMariaは、生徒が自ら企画して英語字幕付きで演じた悲劇「アガメムノン」の動画を紹介。スペインから来たAuxiは、クロマキーという装置とアプリ「TouchCast Studio」を使って、生徒が英語のオリジナル動画を作る活動をプレゼンしました。前日に続き、有用なサイトやアプリの情報交換も行われ、全員に役立つ知識が共有されました。

授業の最後に先生が言った言葉も印象に残りました。“Limitations are the soil from which creativity grows.(制約こそ創造性を育てる土壌である)”

振り返れば1週目は、利き手でないほうの手を使ったり、一度もペンを紙から離さずに絵を描いたりといった活動から始まりました。制限があることによって生み出される力というものを、時には振り返る必要性を感じます。

歌詞のない音楽をどう授業に生かすか(金曜日のテーマ)

「歌詞のない音楽をどう授業に生かすか」をテーマに、Being Creative (Chaz Pungliese)に収録されたアイデアが紹介されました。あらかじめ5つの問い(Who are you?、Where is the other one?、Where are you?、Do you know each other?、What’s going on?、Is the ending happy or sad?)が提示され、ジャズ・ピアニスト、キース・ジャレットのCountryを聞き、浮かんだ答えをグループで共有します。

歌を用いた活動は行いましたが、歌詞のない音楽を言語活動に結び付けると一層自由な発想ができることに気付きました。私自身、最終日にはかなり想像力の翼がはえて、メンバーにドラマチック!と言われるストーリーができました(どんなものかは恥ずかしいのでここでは省略します)。

締めくくりは語彙の活動です。2週目は毎日、ホワイトボードに新しく覚えた語彙や表現を貼る時間がありました。例えば、席替えを表すhot desking、中古を表すpre-loved (自分より前にその品を愛した人がいる)、ガラケーを表すdumb phone (スマートではないから) などはイングランド特有の比較的新しい表現と思われますが、Anna先生に教えてもらった語彙でした。これらのように授業で覚えた単語が多く貼られましたが、授業に限らなくてもいいとのことで、聞いたことのないものもありました。私はpoetryの授業で覚えたbeguiling、週末に旅行した時に電車が駅に止まる意味で使われたcall (stopでないのが面白くて) を加えました。

このホワイトボードは研修生が見るためのものと思っていたので、最終日に授業で活用されたことに大変驚きました。まず、等分にしたカードと信号機の絵がグループに配られ、メンバー全員が知っている語彙は青、知らない人がいるものは黄、全員知らない場合は赤に置くよう指示があります。黄に置かれた語彙を知っているメンバーは知らない人に説明し、全員が知っている状態にします。

語彙

続いて、グループに残る人と他のグループを巡回して意見交換する人が適宜交代しながら、自分の書いた語彙が他のグループの赤にある場合、意味を説明します。全員が他グループとの意見交換を通じて、全てのカードを理解するまで続けます。

さらに定着させるためのアクティビティもしました。かるた取りのように一人が定義を言って、他のメンバーがカードを取る、陣取りゲームのように読み手が言った定義に対する語を答えられたら線を引き、正方形ができれば得点になるなど。

振り返ると赤信号の語彙の説明もゲームも、その語彙を自身の言葉で定義するので、ライティングの練習にもなりました。日本の学校でもこのような活動を語彙学習に取り入れるのは有用だと感じます。

最終日のサプライズ

先生の活動にはサプライズが数多く用意されていて、サプライズはクリエイティビティに大切な要素だということを教わりました。ただし、いつもサプライズを用意することは不可能だし、生徒が「もっともっと」と期待するようになってしまうので、時々用意するからこそのサプライズだという一言もありました。

そこで、私たち研修生からも先生へのサプライズプレゼント。寄せ書きとお花とチョコレートをみんなで贈りました。リーダーシップをとって提案し、実行してくれる仲間がいて実現した、すてきなサプライズです。とてもいいクラスに恵まれたことを実感した最終日でした。

プレセント


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E-mail: jr-study@alc.co.jp
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文・写真: 高橋みどり

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