英語教育のこれからを考える――アルク教育ソリューションEXPO開催

アルク教育ソリューションEXPO

英語教育やグローバル人材育成のさまざまな課題解決をテーマとした総合イベント「アルク英語教育ソリューションEXPO 2018」が、2018年6月1日~3日にかけて東京・神田で開催されました。セミナー(一部)と会場の様子をご紹介します。


全国からお集まりいただいたのは、大学で英語を教えている先生をはじめ、中学・高校の英語の先生、英語教室で子どもに教えている先生、教育機関の職員、企業の研修ご担当者、自治体の教育ご担当者など多岐にわたりました。

会場は、展示ホールとセミナーホールに分かれています。展示ホールには、eラーニング、企業研修、留学支援、そしてアルクの英語教材の展示・販売コーナーなどのブースがずらりと並んでいました。小さなステージも設けられ、さまざまなデモンストレーションが行われます。例えば、「アルクオンライン英会話」は、スクリーンにパソコン画面を映し出して、モニターの向こうにいる英語ネイティブ講師とのレッスンをライブで実演。多くの参加者が熱心に見入っていました。

「教員のための教室英語」をテーマにしたデモレッスン

セミナーホールでは、3日間で合計12のセミナーが開催されました。

大学入試改革で学校の英語教育はどう変わっていくのか【セミナー1】

最初のセミナーは、上智大学特別招聘教授の吉田研作先生による「大学入試改革の今後~4技能テストTEAP の活用と入学後の学びについて~」。2020年度からスタートする「大学入学共通テスト」では、英語の試験内容が大きく変わります。これまでの「大学入試センター試験」が廃止され、吉田先生が開発に携わったTEAPをはじめとする、民間の英語4技能資格・検定試験が活用されることになっています(2023年度までは大学入学共通テストも併用)。

吉田先生はこの大きな変化のベースにある新学習指導要領の考え方を、教師、教育関係者はまず十分に理解することが大変重要だと強調します。

「これまでの英語教育は知識・技能を付けることが柱となってきましたが、新しい指導要領では身に付けた知識を使って、自分の考えをしっかり表現できる力を育成することが目標となっています。そして自信を持って社会、世界と関わっていけるようにする。今回制定された英語の指導要領は、文部科学省の意気込みが感じられます」。

新指導要領では、「~することができる」を基準に言語力を評価する「CAN-DO」を小学3年~高校3年まで設定し、英語教育の細かなカリキュラムが小学校から高校まで連携している点も重要なポイントです。また、4技能をばらばらに教えるのではなく、各技能を統合するという考え方が強く表れていると、吉田先生は言います。

「例えば、スピーキングの学習では、読んだり聞いたりした情報の内容について質疑応答したり、生徒同士で意見や感想を伝え合ったりする。授業では、4技能全て含まれるような教え方が求められているのです」。

大学共通テストの実施にあたり、大学側は個別の2次試験をどうするかという課題もあります。「指導要領の方向性に沿い、かつ大学のアドミッションポリシーにも合った学生を判断するための方法を、各大学とも真剣に考えなくてはならないでしょう」。

大学入学後の英語教育も、指導要領が目指すものをさらに発展させていく流れになります。その例として、上智大学ではTEAPでレベルを測り、授業はCLIL※を使った統合型の授業を行っていることを紹介。授業以外にも学生をサポートするため、英語学習アドバイザーに相談できる制度など、さまざまなプログラムを用意しています。

大学の入試改革と共に、今後日本の英語教育も変わっていかなくてはならない状況が明らかになったセミナーでした。

CLIL: Content and Language Integrated Learning(内容言語統合型学習)の略で、文字どおり教科やトピックなどの「内容」と「言語」を融合して学ぶ教育方法。

FD・SD研修は学生のためにある【セミナー2】

大学の設置基準として、教職員の資質開発(FD・SD)が義務化され、多くの大学が取り組んでいます。北海道大学の山本堅一特任准教授は、「北海道大学高等教育推進機構の取組事例について~成果の出るFD・SD研修~」と題したセミナーで、お話されました。

2015年から北海道大学の高等教育研修センターで学内のFD・SD研修を統括し、各部局とも連携しながら研修を実施する山本先生は、経済学で博士号を取った後に、専門分野を高等教育に変えたという異色の経歴をお持ちです。「大学時代、授業のつまらなさにこれでいいのか?と問題意識を持ち、大学教育を変えたいと思うようになりました」と、きっかけを語ります。

北海道大学のFD・SD研修の内容は、「アクティブラーニング」「授業のやり方」「プレゼンテーション」「英語コミュニケーション」など多岐にわたります。

「アクティブラーニングは誤解も多いので、初めに基本的な理解をしてもらってから、実際の授業設計を行います。また、留学生が非常に増えているなか、教職員の方に人気が高いのは、英語関連のプログラムです。リスニングやスピーキングのワークショップ、英文メールの書き方などの研修を行っています」。

参加者の3割が他大学の教職員であるのも大きな特徴。研修を通じて、さまざまな分野の方々と交流できることも大きなメリットだと言います。

また、研修への教職員の意欲を高め、行動変容につながる成果を出すには「研修の回数を増やし、参加を強制しないこと」と山本先生。「効率を考えると、なかなか難しい面もありますが、強制参加でやる気のない人が入っていると研修の雰囲気も悪くなります。開催数が増えることで、参加が可能な機会が増え、受講者が自主的に参加することによって研修が、より活性化するのです 」。

最後に山本先生が強調したのは、FD・SD研修は何よりも学生のためにあるということでした。「学生たちが大学で学んで良かったと思えるように、FD・SD研修は絶対に必要です」。

グローバルリーダー育成はどうあるべきか【セミナー3】

IMD 高津氏

1日目最後のセミナーは、「Executive Education 最新情報」。スイス・ローザンヌに本拠を置く世界トップクラスのビジネススクールIMDの経営幹部育成プログラム「Executive Education」について、IMD北東アジア代表の高津尚志さんがプレゼンテーションしました。

Executive Educationは管理職経験者を対象とする、数日から2カ月程度の短期プログラムです。グローバルリーダーとしての意識づけなどを学ぶことを目的とした公開プログラムと、企業向けに個別にカスタマイズしたものがあります。アルクは毎年、多くの企業の社員派遣をサポートしています。

「約40の細分化されたプログラムがありますが、いわゆる座学ではありません。自分の仕事に落とし込めないと、学びにはならないというのがIMDの考えです。実際の業務に結び付けてもらうための内容になっています」と高津さん。

昨年、公開プログラム「OWP」に参加した、アルク企業営業部の大久保裕史が体験を報告し、グローバルリーダー育成がどのように行われているのかも見えてくるセミナーでした。さらなる詳細は、「グローバルリーダーが集う最新のプログラム ― 世界トップクラスのビジネススクールIMDの強み」をご覧ください。

「アルク教育ソリューションEXPO 2018」では、3日間にわたり、本記事でご紹介した以外にも多数のセミナーやプレゼンテーションを行い、英語を指導する先生方をはじめとする、多数の教育関係者の方々にご参加いただきました。

さらに変革を続けるグローバル人材育成・語学教育の世界における課題について、共に考える場として、今後も指導者・教育支援者の皆さまを応援するためのセミナーやイベント、シンポジウムなどを開催してまいります。


○中学・高校の英語の先生向けセミナー
https://teacher.alc.co.jp/high/seminar/seminar/

●グローバル人材育成セミナー
https://www.alc-education.co.jp/business/seminar/


取材・文: 原 智子
写真: 横関一浩

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