外国人旅行者が日本で行きたい店、知りたいこと

ナポリタンスパゲティに驚くイタリア人

19年間の海外経験を生かし、英語ボランティアガイドとして活動する龍里宗一(たつざとそういち)さんが、外国人に日本を案内する際に知っておくといいポイントを紹介します。


海外生活経験を生かしてボランティアガイドをスタート

大学卒業後、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスで、計19年間の海外生活を経験し、日本と現地との文化、習慣、社会システムのさまざまな違いを認識させられました。4年前の本帰国後、それらの経験をベースに、NPO法人「TOKYO FREE GUIDE」で英語ボランティアガイドの活動を開始しました。

浅草、上野・アメ横、皇居、明治神宮、渋谷、秋葉原、銀座、築地、東京スカイツリー、東京タワーなど、活動では海外からの個人旅行者が希望する場所を案内します。傾向として、東京のみを訪問する方はまれで、大半は複数の都市・国を巡ります。時間的に制約のある方も多いため、ゲスト(旅行者)と会って実際に案内を始める前には、彼らがガイドなしでも効率的・経済的に移動できるよう、公共交通のシステムを説明します。

JRや地下鉄、私鉄、バスの路線図の見方、乗り換えの方法(案内看板が多過ぎると、かえって分かりにくい場合あり)、交通系ICカードや一日乗車券の特徴といったことです。訪日観光客向けのJAPAN RAIL PASSを購入した人には、一部の新幹線が乗れないことなども確認します。

訪日客が行きたがる、“外国人向けでない”店

立ち食いそばや牛丼チェーン店など、日本人にとって日常的な店に行きたがる外国人はたくさんいます。セルフサービス店の流れや対応を知っておくと後々便利なので、食券の買い方、飲料水やお茶は通常無料サービスであること、はしが使いづらい場合は、申し出ればフォーク類を出してくれる店も多いこと、食事が運ばれたすぐ後に勘定書を渡す店があること(欧米では退店を促す意味あり)、消費税やサービス料込みの金額が提示されるので、それ以上支払う必要はないことなどを説明します。

外国人の疑問

ガイド中は、たいてい次のような質問をされます。外国人を案内する機会のある方は、答えを準備しておくといいでしょう。
・なぜ、街・駅にごみが落ちてないのか。
・なぜ、マスクをしている人が多いのか。
・なぜ、小さな子どもが大人を伴わず、一人で外出しているのか。
・なぜ、電車の中で乗客が静かなのか。
・なぜ、日本人はスレンダーなのか。

彼らはたいていの場合、観光地の名所・史跡、飲食店を事前に調べています。ガイドからは、本などに載っていない日本の実情を知り、文化にリスペクトを持って非日常感を体験したいという要望を感じます。

ですので、ガイドをするときは日本に関する一般知識を押さえつつ、ゲストと同じ目線で日本を客観視することが肝要です。

ショッピングを例にすると、はし置きは、はしを置くだけでなく、デザインの多様性に魅力を感じ、装飾品として購入する人がいます。招き猫やだるまの色は、定番の赤白でなく、カラフルな他色を選ぶ人も多いです。陶磁器などの焼き物は、地味でシックな柄より、デザインのはっきりした柄が好まれる傾向にあります。

旅行者になった気分で日本を見てみる

私たちにとって何げない場所、モノが、外国人から見ると価値があったり、面白かったりすることも多いようです。ゲストの反応を注視しながら、ガイド中に目に入った「ちょっと分かりにくい、日本の魅力」と思えるものを積極的に説明し、理解を深めていただきます。

料理がいい例です。私はよく、ゲストを自国の料理が出る店にお連れして、日本でどのように紹介されているか、どう社会に溶け込み、変化を遂げたのかを話します。

イタリアの方には、「日本人のソウルフードの一つといえるナポリタンスパゲティで……」と言って実物を見せると、イタリア料理がケチャップで味付けされていることに驚愕(きょうがく)の表情を浮かべること請け合いです。

普段の生活で気付きにくい、でも外国人にとって非日常感満載で、感動できるものは日本に数多くあります。そんなところに目を向けてみるのはいかがでしょう。論理的に、歴史的背景を交えて、旅行者に日本を説明して、親日家を一人でも多く増やしていければ、これに勝る喜びはありません。


文: 龍里宗一
イラスト: つぼいひろき

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