ロボットが接客! 外国人旅行者も魅了する「変なホテル」の挑戦

西葛西

チェックインしようとホテルのフロントを訪れたら、恐竜が現れた! そんなSF映画のような体験ができるのが、初めてロボットがスタッフとして働いたホテルとしてギネス世界記録に認定された「変なホテル」。最先端技術を駆使する同ホテルの進化、インバウンド対応などを、運営会社H.I.S. ホテルホールディングスに聞きました。


最先端技術による感動と快適さを提供したい

――フロントにロボットを採用した理由を教えてください。

H.I.S. ホテルホールディングス(以下、H.H.H.) 一つには生産性の向上があります。そのためのコストダウンを考えたとき、大きな割合を占めるのが人件費です。例えば部屋数が100のホテルでは、一般的に20~30名のスタッフが最低必要だと言われますが、当ホテルは10人程度です。

コストダウンした分は、ロボットをはじめとする最先端テクノロジーの設備に還元して、お客さまが今まで経験したことがないエンターテインメント性や利便性、快適性を提供したいと考えます。

変なホテルのコンセプトは、strangeではなくchangeとcreate。最先端技術による驚きと感動、そして心地よさを作り出すために、常に変化し、進化していくホテルを目指しています。

――インパクトのあるホテル名ですね。

H.H.H. ハウステンボスに1号店を出したのが2015年。「とにかく新しいことをやっていこう、変なホテルを作っていこうよ」と言っていたのが、そのまま名称になったと聞いています。実は私もこの名前に決まったとき、驚きました(笑)。

舞浜最先端のロボットが出迎えてくれる

――フロントに立つロボットは何種類ですか?

H.H.H. 大きく分けると恐竜と人型の2種類で、ホテルによって台数はまちまちです。ハウステンボス、舞浜、ラグーナテンボス、西葛西では、恐竜ロボットが働いています。レジャー施設やその付近にあるホテルは、ファミリー層のお客さまが多いので、お子さまに喜んでいただきたくて恐竜にしました。彼らはときどき鳴いたり、くしゃみをしたりするんですよ。

銀座や浜松町など、ビジネスのお客さまがメインとなる立地では、人型を採用しています。性別は女性と男性で、一体ごとに微妙に表情を変え、まばたきもします。

浜松町浜松町のフロントスタッフ

――ホテルを利用する方に合わせた配置なのですね。

H.H.H. そうです。ただ、銀座や浜松町にご宿泊のお客さまから「恐竜はいないの?」と聞かれることも多いです。人型ロボットに好奇心から話しかけてくださる方もいるのですが、フロントのロボットはチェックインのサポートが主な役目なので、あえてコミュニケーションの機能を持たせていません。

ですので、対応が必要な場合は、バックヤードでモニタリングしているスタッフが担当します。また、館内や近隣の情報を調べられるように、浜松町ではコミュニケーションロボット「unibo(ユニボ)」をフロント横に配備しました。

uniboコンシェルジュとして活躍するユニボ

4カ国語を操るフロントのロボット

――ロボットは何カ国語に対応していますか?

H.H.H. フロントのロボットは、日本語、英語、中国語、韓国語を扱います。ユニボは日本語でサービスを始め、間もなく英語に対応。中国語は準備中です。今のところ、この3カ国語の計画です。

なお、チェックイン時に使用するタッチパネルは、日本語、英語、韓国語、簡体字、繁体字に対応しています。

――海外からの宿泊客はどのくらいでしょう?

H.H.H. ホテルによってばらつきがありますが、全体で約30パーセントです。中国、台湾、香港、韓国など、アジア圏のお客さまがメインです。グループ会社のインバウンド部門が、アジア圏でプロモーションを展開した結果と思います。

――SNSに写真を投稿する方も多そうですね。

H.H.H. 皆さん、フロントで写真を撮られます。その写真がSNSで拡散され、興味から当ホテルを選んでくださる方も増えています。過去には、動画投稿サイトの有名人が公開した映像が話題になり、ドイツの国営放送に取材されました。英BBCや米ABCなどの各国メディアでも取り上げられました。

フィッシュロボット水槽を泳ぐ魚も、もちろんロボット

変なホテル流、訪日客向けのおもてなし

――外国人旅行者を意識した取り組みはありますか?

H.H.H. 訪日のお客さまを常に念頭に置いて、ホテルづくりをしています。例えば、4号店となる西葛西から、館内外で使えるスマートフォン「handy」を各部屋に設置しました。国内だけでなく海外6カ国への通話、そしてインターネットが無料で利用いただけます。日本のお客さまも含めてグループで宿泊される方に好評なのは、館外からも使える内線電話機能です。

また、6号店の浜松町は、全室に「スマートプレート」を設置しました。お手持ちのスマートフォンやhandyをこの上にかざすと、ダイレクトに館内や周辺の情報にアクセスができ、簡単にタクシーの手配もできるので、コンシェルジュ代わりにお使いいただけます。こちらも各国言語に対応しています。

――快適性に関しては、どんな設備が人気ですか。

H.H.H. ホテルによりますが、新幹線のグリーン車の座席と同じ素材で作られたマットレスや、クリーニングに出したように服のにおいやしわ、ほこりが除去できるクローゼット型の衣類リフレッシュ機が好評の声をいただいています。

――今後の展開をお聞かせください。海外進出もお考えですか?

H.H.H. 2018年7月に浅草橋、赤坂、10月に羽田、12月以降は西日本にオープンします。大阪の心斎橋に2店、京都、福岡の予定で、2019年3月には国内13店舗が稼働します。

H.I.S.グループ全体では今後、国内外で100ホテルを目指しています。「変なホテル」の海外進出は、今の時点で具体的にお話しできることはありませんが、海外でもロボットによるおもてなしを実現できたらと思っています。

浅草橋浅草橋のロビーフロント


取材・文: 岩崎 唱
写真提供: H.I.S. ホテルホールディングス

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