企業研修トレーナーに聞く[第2回]──「パーフェクトな英語」を話そうとしなくていい

Dwayne講師

アルクの講師陣を育成するトレーナーに話を聞くシリーズの第2回目は、ロサンゼルス出身のドウェイン・グレゴリーさんです。来日して19年目を迎える彼に、英語のコミュニケーション力を高めるためのヒントや、企業の英語研修をめぐる近年の変化について聞きました。

Dwayne Gregory(ドウェイン・グレゴリー)
アルク 企業研修トレーナー

カリフォルニア州ロサンゼルス出身。1999年に来日して以来、ビジネス英語講師として活動。2008年、アルクに入社。現在は講師トレーニングに従事しながら、教材開発のサポートも務める。ビジネス英語やビジネスコミュニケーションの指導において幅広い知識を持ち、受講生の能力を最大限に引き出すポジティブでエネルギッシュなレッスンを得意とする。プライベートでは2児の父。

初めての日本は、見るもの全てが新鮮だった

――ドウェインさんは、1999年に来日したのですよね。それまでの経歴を教えてください。

ドウェイン 私はロサンゼルスに生まれ、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で社会学とコミュニケーション学を学びました。卒業後は消防士として働いた後、地域の青少年保護観察官を7年務めました。青少年保護観察官とは、家庭に問題を抱えていたり、罪を犯したりした少年少女をサポートする仕事です。とてもやりがいのある仕事でしたが、当時は、支援を必要とする青少年の数が膨大である一方で、彼らを支援するシステムがうまく構築されておらず、歯がゆい思いを感じることもありました。

自分のキャリアに迷いが生じていたころ、ちょうど、UCLAで英語を学んでいる日本人の友人が帰国し「日本においでよ!」と誘ってくれました。最初は10日間だけ滞在したのですが、LAで生まれ育った僕にとっては見るもの全てが新鮮で、日本という国にとても魅力を感じました。いったんアメリカへ帰国し、日本での英語講師の仕事を見つけて、2カ月後にはこちらへ移り住みました。

英語コミュニケーションのコツは「自信を持つこと」

――アルクに入社してからは、どのような業務を担当しましたか。

ドウェイン 最初の6年間は、主に企業を対象にした研修で講師を務めました。ビジネス英語のレッスンの他に、マネジメント層の社員に向けたグローバルコミュニケーションのセミナーなども担当しました。研修で使用する教材の作成にも携わりました。

3年前からは、トレーナーとして講師の採用や育成に携わっています。私たちの目指すところは、講師全員の質を高めることです。そのために、アルク独自の教務哲学である「ALC Education Approach(3つの原則)」に基づいた研修を行っています。他社で英語講師として働いた経験のある講師もたくさんいますが、ALC Education Approachは他にないメソッドなので、最初はその違いに驚くようです。

違いの例としては、文法に基づいた練習ではなく言語機能別の練習を行うことであったり、講師が学びを与えるのではなく、受講生自身が学びに気づくためのアプローチだったり、発話の途中で指摘やフィードバックをするのではなく、話し終えた後にフィードバックを行うことなどがあります。

講師向けにデモレッスンを行うこともありますし、講師がレッスンプランを作成する際には、そのサポートも行います。新しい教材が導入されたときには、講師がその内容を理解し吸収できるようアシストします。また、全ての講師の質を高めるべく、レッスンに対する評価やフィードバックを行っています。

――6月には、企業向けにActive Business Communication(ABC)とPractice Workplace English(PWE)のデモレッスンを担当しますね。この2つのレッスンについて教えてください。

ドウェイン ABCは、「意見を言う」「商品・サービスの説明をする」「報告書を書く」「会議で発言する」といった具体的な業務を、英語でできるようにするための講座です。レッスンは企業の事業内容や受講者の仕事内容、役職といったプロフィールに合わせてカスタマイズし、オフィスで実際に使える表現を学びます。

PWEでは、「英文メールを書く」「電話をする」「報告書を書く」という3つの項目を扱います。どれも基礎的なビジネス英語の力を身に付けるものですが、こちらもやはり、受講者の仕事内容に合わせてアレンジします。どんなメールを書くか、どんな電話をするかは、業界や仕事内容によって大きく異なりますからね。

レッスンの受講後、多くの参加者はスピーキング能力やコミュニケーション能力が高まったと実感しますが、それだけでなく、「自信を持って話せるようになった」という声もよく聞きます。自信を持つことは、英語でコミュニケーションを取る上で最も大事なことなのです。

Dwayne講師
ポジティブでエネルギッシュなレッスンが好評

「パーフェクトな英語」はない。間違いを恐れないで

――長年にわたり企業向け研修を行ってきて、変化を感じることはありますか?

ドウェイン はい、日本人の英語との向き合い方が変化していると感じます。私が講師になったばかりのころは、「会社に言われたから仕方なく参加している」という人も多かったように思います。でも、今は、自分の意志で参加している人がほとんどではないでしょうか。かつて若者だった人たちが、マネジメントレベルになりつつあることも大きいかもしれません。彼らの中には「英語を学びたい」と思い、「英語が将来につながる道になる」と理解している人がたくさんいます。

――日本のビジネスパーソンが、英語力を高めるために必要なことは何でしょうか。

ドウェイン とにかく「間違いを恐れないこと」だと思います。日本のビジネスパーソンの中には、これまでペーパーテストに向けた対策や、文法の勉強ばかりしてきた人も多いと思います。そのために、会話でも「パーフェクトな英語で話さなければ」とプレッシャーを感じて、黙ってしまうことがあるようです。

でも、コミュニケーションを取る上で、パーフェクトな英語なんて必要ありません。皆さんにとって英語は母語でないのですから、ミスをするのが当たり前だと理解してくれるネイティブスピーカーは大勢います。

それに、今は、世界中の人が英語を話す時代。英語の形も一つではありません。英語を母語としない人はたくさんいますし、実を言うと、アメリカ国内でだって、アクセントや話し方には地域差があるんです。私の生まれた西海岸と東海岸では、標準語と関西弁くらいの違いがあります(笑)。ですから、本当に「パーフェクトな英語」なんてないんです。

街がきれいで治安の良い日本

――最後に、日本の好きなところを教えてください。

ドウェイン たくさんありますが、一つは、街がとてもきれいなこと。私の家族や友人がアメリカから遊びにくると、「街中にごみ箱があまりないのに、ごみも落ちていない。どうなってるの?」と、よく驚いています。それから、治安が良いのも素晴らしいことですね。

文化の面では、日本の祭りや行事がとても好きです。夏祭りで浴衣を着て歩いている人たちを見ると、自分たちの文化に誇りを持っているのだなと感じます。私も1度だけ浴衣を着たことがありますが、その後は着ていません。ちょっと照れくさいんです(笑)。

ドウェイン講師からのメッセージ

人事ご担当者様対象: 英語研修デモレッスン・セミナーシリーズ 開催

ドウェイン講師は、次のデモレッスンを担当します。どうぞご参加ください。
6月14日(木) Active Business Communication
6月20日(水) Practical Workplace English


取材・文: いしもとあやこ
写真・動画: アルクplus 編集部

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