英語ビジネススキルを高めるために大切なこと──企業研修トレーナーに聞く [第1回]

Stephen Perent

グローバルに活躍できる人材育成の必要性が、ますます高まっています。アルクでは四半世紀にわたり、企業や学校法人を対象にさまざまな研修を行ってきました。英語とマネジメントコミュニケーションスキルの分野を中心にグローバル人材育成をサポートする中で、多様な課題に応えるために、経験豊富な講師陣をそろえています。その講師陣の育成に携わるトレーナーに、日本人が英語ビジネススキルを高めるために必要なことや、日本に対する思いを聞きました。

Stephen Parent (ステファン・ペレント)
アルク 企業研修トレーナー
2004年、講師としてアルクに入社以来、近年は講師トレーニングにも従事。北米、ヨーロッパ、アジアの国々での豊富な職務経験がある。新入社員から経営者まで、さまざまな分野で活躍するプロフェッショナルに対し、真にグローバルな視点を提供することを得意とする。エネルギッシュで、参加型の学習環境を作り出すレッスンが受講者に好評。

「冒険する人生」を求めて日本へ

――来日するまでの経歴を教えてください。

ステファン カナダの首都オタワ出身です。父は英語圏のオンタリオ州、母はフランス語圏であるケベック州の生まれで、私も英語とフランス語を話します。オタワ大学教育学部に進学し、ESL(第二言語としての英語習得)について学びました。

日本という国に出会ったのも、大学生の頃です。子どもたちのための国際サマーキャンプに引率者として参加し、イタリアのボローニャに1カ月ほど滞在したのですが、その中に日本からの参加チームもいたのです。カナダはまだ若い国なので、歴史が長く、かつ近代的でハイテクな側面も持つ日本文化にとても興味を持ちました。

大学卒業後はカナダの銀行でマネジメント業務に携わりましたが、海外で英語を教えたいという夢も捨てきれませんでした。どちらの道に進むべきか迷う中で、道しるべとなったのが「非凡な道を選ぶ」という私の人生哲学です。安定した人生よりも、まだ見たことのない国で冒険する方が性に合っていると思い、来日を決意しました。それから15年がたち、今では日本人の女性と結婚して、6歳と3歳の娘がいます。

参加者のニーズやレベルに合わせて、講座内容を柔軟にアレンジ

――アルクでは、どんな業務に携わっていますか。

ステファン 企業研修の講師としてさまざまなプログラムを受け持ったのち、トレーナーとして講師の育成に携わりました。現在は品質保証(QA)チームのリーダーとなって、トレーナーの育成や講師の採用、企業向け研修のデモレッスンといった幅広い業務を担当しています。

私たちは英語だけでなくビジネスマネジメントの研修も実施しており、そこではグローバル思考や異文化コミュニケーションといったテーマのプログラムを提供しています。私自身も、講師としてこれらの講座に携わっています。受講生は日本人に限らず、英語のネイティブスピーカーを対象に教えることもよくあります。

――アルクの企業研修の特徴は何でしょうか。

ステファン 私たちの企業研修は、ALC Education Approachと呼ばれる3つの原則に基づいて実施されます。3つの原則とは、Facilitative(自らの学びを可能にする指導)、Goal-oriented(結果につながる明確な目標設定)、Learner-centered(学習者の視点に立ったサポート体制)というものです。

講座の主役はあくまで参加者の皆さんであり、講師はファシリテーター(進行役)にすぎません。講義中はペアワークやグループワークを行ったり、講師から参加者に質問を投げかけたりすることで、参加者ができるだけ長く英語で話す機会を持てるよう心掛けています。

さらに、参加者のニーズや英語レベル、業種やステータス(新卒者か役員レベルかなど)といった要素を考慮して、毎回、講座内容を柔軟にアレンジしています。高い英語力が要求されそうな講座に見えても、もし参加者の英語レベルが合致していなければ、そのレベルに合わせた内容に随時カスタマイズすることができるのです。

英語ビジネススキルを高めるために必要なのは、発言する勇気

――英語ビジネススキルを高めるために、日本人が必要とするものは何だと思いますか。

ステファン 「発言すること」は大切です。日本のビジネスパーソンの多くは、基礎的な英語力を備えているにもかかわらず、会議の場などで質問したり、発言したりすることを苦手と感じているようです。これは日本人に限ったことではなく、どの国の人でもそうなのですが、「発言の意味が分かりません」「もう一度言ってもらえますか?」と切り出すのは、確かに勇気が要ることです。誰だって、「そんなことも分からないのか」と思われたくはないですからね。

それでも、質問や発言は、コミュニケーションを取る上で絶対に欠かせない手段です。せっかく会議に出ても、分からないことをそのままにして笑顔でうなずいているだけでは、意味がありません。勇気を出して発言できるように、一緒に練習していきましょう。講座に参加する前には恥ずかしがって発言できなかった参加者たちが、終わるころには、止めるのが大変なほど活発に意見を出し合うようになった、というのもよく見られる光景なんですよ。

――この5月から3カ月にわたって、デモレッスン・シリーズを開催するそうですが、ステファンさんがご担当される中で、7月に「Meetings」のデモレッスンを担当しますね。この講座の内容や特徴を教えてください。

ステファン この講座では、英語でスムーズに会議を行うためのノウハウを伝授します。ファシリテーターとして参加者から意見を引き出し、議論を活性化させる方法や、意見の出し方、賛成・反対の仕方、意志決定への導き方などをお教えします。

日本的なスタイルの会議では、誰かの発言が終わるまできちんと耳を傾けることが多いですが、欧米スタイルでは発言をさえぎって話すことがよくあり、非常にインタラクティブです。こうした違いについても取り上げ、会議に積極的に参加できるようになることを目指します。ぜひ、ご参加ください。

日本の季節行事やお祭りが楽しみ

――日本の好きなところを教えてください。

ステファン 好きなところはたくさんありますが、とりわけ、日本人の礼儀正しさは素晴らしいと思います。電車に乗るときにきちんと整列したり、お辞儀をしたりと、さまざまな場面で他者への気遣いを感じますね。

それから、季節の行事や、地域のお祭りも大好きです。春のお花見や夏の花火大会も楽しいですし、お寺や神社のお祭り、盆踊りなども最高です。普段、近所の人と知り合う場面はあまり多くありませんが、こうしたお祭りは地域のつながりを深めるいい機会だと思います。最近、「下町」と呼ばれるエリアに引っ越したので、これからいろいろなお祭りに参加できることが楽しみです。

――休みの日は、何をしていますか?

ステファン 週末は、公園で娘たちと遊んだり、隅田川沿いをジョギングしたりしています。それから、読書も好きですね。よく読むのはビジネス書。最近は、企業やビジネスのイノベーションに関する本を読みました。こうしたビジネス書から得たヒントを、講座の中にもどんどん採り入れていきたいと思っています。

ステファン講師からのメッセージ

人事ご担当者様対象:英語研修デモレッスン・セミナーシリーズ 開催

ステファン講師は、次のデモレッスンを担当します。どうぞご参加ください。
6月27日(水) Presentations
7月4日(水) Meetings
7月6日(金) おもてなし英語力を磨く!訪日外国人のリピーターをよびこむ接客英会話
7月11日(水) Logical Speaking


取材・文: いしもとあやこ
写真・動画: アルクplus 編集部

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