社員の英語教育で大切なこと ~ 英語学習意識改革セミナー

早川幸治氏

ビジネスでの英語力の必要性が急激に高まる中、英語研修を担う人事担当者の多くが、社員に対して「英語学習への意欲が低い」「英語学習へのモチベーションが維持できない」「英語学習を継続できない」などを課題として挙げています。

そこでアルクでは、2018年3月8日に企業の人事・研修担当者を対象に「英語学習意識改革セミナー」を開催。これまで130社以上の企業で英語研修を担当してきた早川幸治さんを講師に迎え、現場で教えてこられた「学習意欲の引き出し方」や「継続のために必要なこと」などについて語っていただきました。

早川幸治(Jay)さん
IT企業のSE職から英会話講師に転身。その後、TOEIC対策専門講師として、これまで全国約130社、のべ2万人以上の研修を担当。また、明海大学や桜美林大学オープンカレッジ、明徳義塾高校でも教えている。著書には『2カ月で攻略 TOEIC® L&Rテスト 730点!』(アルク)など40冊以上。学習サポートのための情報発信も行い、単語メルマガは2011年から毎日継続中。また、モチベーションを高めるためのポッドキャスト番組「Jayの英語モチベーションブースター」を毎週水曜日に配信している。

※早川幸治さんにお聞きした、英語研修の成果を上げる学習者の「意識改革」についての関連記事はこちら


英語学習へのマインドセットからスタート

会場に集まった人事担当の方々を前に、最初に早川さんが語ったのは「マインドセットの大切さ」です。

「研修に参加する社員の多くは、できれば英語学習はやりたくないと思っています。いきなり学習方法を紹介しても心には響きません。そこで”なぜ英語を学ばなくてはならないのか”ということの確認から始めます」。

早川さんが研修でよく例に出すのが、海外で活躍するスポーツ選手についてです。テニスの錦織圭選手やサッカーの長友佑都選手、フィギュアスケートの羽生結弦選手など、海外で活躍しているアスリートは皆、「超一流のプレーヤー」であることはもちろん、「外国語ができる」という共通点があります。外国語でコミュニケーションをとれれば、より海外で結果を残せたかもしれない日本人選手も少なくないでしょう。

「ビジネスの世界でも同じことが起きています。海外展開を進めていかねばならない状況で、会社は実力のある人材を海外に送りたい。しかし英語ができないと結果を出せないので最有力候補者の派遣を見送るといった事態が多くの企業で起きています。英語ができないと個人にも会社にも大きな損失となる。このことを示し、”英語を身に付けなくてはならない”という強いマインドセットを持っていただいています」。

英語習得に特別な才能は必要ない。大事なのは反復練習

マインドセットができたところで、早川さんが強調するのは「英語習得には特別な才能は必要ない」ということ。実は社員が英語学習に対して高い意欲を持てない原因の一つは、英語への強い苦手意識、英語への強い拒絶感です。

「英語力は一つのスキル。車の運転やゴルフの腕、あるいはカラオケで一曲マスターするのと同じように、誰もがトレーニングによって上達できます。才能よりも反復練習が重要なのです」。

早川さん自身も高校2年の時に英検4級を受けて不合格となったほど、英語は苦手でした。しかしその後英語に興味を持ち、学習に力を入れたことで、現在はTOEIC990点(満点)を取得されています。その自らの経験にもとづいた言葉には、説得力があります。

「僕の学習法はいわばラグビー方式。ラグビーでは後ろにパスを回しながら、前方のゴールを目指すように、学習していて壁にぶつかったら一旦後ろに下がり、また進むことを繰り返しました。このやり方で学習を続けることで、やがては壁を越え、前に進める。気がついたら意外に早く実力がついていました」。

継続の鍵はモチベーションよりもスケジュール

多くの人事担当者が課題にしているのが「英語学習へのモチベーションをいかに維持してもらうか」ですが、この点について早川先生は「英語上達にモチベーションは大切ですが、それに頼りすぎると学習は絶対に続きません」ときっぱり。むしろ、モチベーションに頼らなくても英語学習を継続できるようなシステム作りが重要だといいます。

「みなさんが毎日会社に行くのは、そのようにスケジュールができていて、行動が習慣化されているからではないでしょうか? 英語学習も同じです。日々の予定に学習スケジュールを組み込み、習慣化してしまえば自然と学習は継続できます。英語学習が続かない人は学習スケジュールを持っていないはずです」。

研修では参加者にこの先3日分の学習スケジュールを作り、1日の予定の中にあらかじめ英語学習の時間を組み込んでもらいます。

早川先生が勧めるのは、朝の時間。「早く起きて会社の近くのカフェで30分、TOEIC問題を解く」というように学習時間と場所、内容を決めることがポイントです。通勤電車内や寝る直前などちょっとした隙間時間も学習時間になります。

3日間英語学習ができたら、その次の3日間のスケジュールをたてます。これを7回続けると21日。3週間続けられれば、多くの人は英語学習が習慣になります。

リスニング学習の体験で反復練習の効果を実感

ここで実際にリスニング学習を参加者全員で体験してみました。素材はTOEICのPart 2、リスニングの応答問題です。3題にトライしました。

最初に流れてきたのは以下のような英文です。

Who’s in charge of the new construction project?

その速さに会場内からはざわめきが……。挙手で感想を聞いたところ「音声が速過ぎる」と感じた参加者が大半で、「ちょっと速い」と感じた人と合わせると、ほぼ会場の9割以上になりました。

しかし、ビジネスでは、このスピードの英語を普通に聞き取らなくてはならない場合もあるでしょう。

早速、早川先生の指導の下、英語の音声が聞き取れるようになるためのトレーニングをスタートしました。早川先生のまねをして英語の発話を繰り返します。

かなり速いので、リピートするのはなかなか難しいのですが、オリジナルの音声と同じように言えるようになるまで練習を繰り返します。その後で、英語の音声を改めて聞くと、最初に聞いたときより英語がゆっくり、そして明瞭に聞こえたという人が続出。驚きの声が上がりました。反復練習の効果とその重要性を多くの方が実感したのです。

「繰り返し英語の音声を聞き、リピーティング練習をすることで英語を聞く耳ができてくる。さらにこの練習はスピーキングの練習にもなります」。

英語学習というと、単語の意味や英文の構造を理解するだけで終わってしまい、反復練習をしない人が実は多いと話す早川先生。

「使える英語力を身に付けるにはトレーニングが絶対必要です。英語の単語やフレーズの意味を学んだら音声を聞き、何度も繰り返し音読する反復練習をして、知識をスキルに高めていきましょう」。

このほか「スマホの表示を英語にするなど日常生活に英語環境を作ろう」「単語は動詞+副詞、形容詞+名詞といったセットで覚えよう」といった、有益な英語学習のヒントを数多く紹介いただいて、早川先生の講義が終了しました。

講義後はアルクより、早川さんによるセミナーと、早川さんの動画講義付き通信講座を組み合わせたブレンドラーニングについての紹介が行われました。また、事例として、英語教育を成功させている企業を取り上げ、成功のポイントとなる社員への学習のマインドセットと、効率的な英語教育の体系について説明をし、全てのプログラムは終了、中味の濃い、熱気のあふれたセミナーとなりました。

次回の早川幸治さんによる「英語学習意識改革セミナー」は、6月8日(金)に名古屋にて開催します。詳細・お申し込みは下記リンク先をご覧ください。

英語学習意識改革セミナー
https://www.alc-education.co.jp/business/seminar/kaikaku1806.html


取材・文: 原 智子
写真: アルクplus 編集部

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