旅をしながらPC一つで仕事をする「デジタルノマド」が世界で注目を集めています。その数は増えつつあり、彼らが仕事場とするのが、各国の「コワーキングスペース」。デジタルノマドをインバウンド市場に取り込むためにどうすればいいか、コワーキング・コリビングという切り口からアイデアを出し合い、ネットワーキングするためのイベントを後援する、REGIONの西川さんに話を聞きました。
――「デジタルノマド」とは、どのような人たちですか?
西川 デジタルノマドは、「ネット環境さえあれば、オフィスに行かなくても仕事ができる人々」のことです。現状、その多くが欧米諸国の出身者です。プログラマーやライターのような特殊な仕事の人がイメージされがちですが、IT環境が整うにつれ、営業や事務などあらゆる職種のデジタルノマドが出てきています。
――どのぐらいいるのでしょうか?
西川 正確な数はわかりませんが、デジタルノマドは2035年には世界で10億人に達するとも言われています。そして彼らの増加に伴って増えているのが、「コワーキングスペース(coworking space)」です。コワーキングスペースとは、共有オフィスのこと。デスク、ネット環境、会議室などが用意されており、ユーザーは利用料を払って、個人のパソコンを持ち込んで仕事をします。
日本でもコワーキングスペースが急激な勢いで増えており、東京だけでも100以上、日本全体だと250以上あります(coworker.com の登録情報より)。今年に入り、ニューヨーク発のコワーキングスペースの大手運営会社、WeWorkの日本進出も話題となりました。
――コワーキングスペースの良さは、どんなところにありますか?
西川 リーズナブルに仕事場を持てること、自宅に比べてオンとオフの切り替えがしやすいことに加え、人脈を広げられることが挙げられます。さまざまな職種の人、多様な国の人と並んで仕事をすることで、新たなビジネスチャンスや新たな価値観を得ることにつながるのです。デジタルノマドをはじめとするフリーランスの利用者が多いですが、企業の雇用形態の多様化につれ、会社員の利用も増えています。
――日本にもデジタルノマドはいるのでしょうか?
西川 デジタルノマドは1つの国や場所に1カ月〜半年など、長期滞在することが多く、半数近くが、物価の安さ、気候の良さなどからアジアを滞在先として選んでいます。ですが、残念ながら日本はアジアにありながら、デジタルノマドに選ばれているとは言い難い状況です。その理由として、宿泊費の高さに加え、「外国人にとって使いやすいコワーキングスペースが少ない」との声が聞かれるそうです。
2月にマレーシアで行われたアジア最大のコワーキングビジネスイベント、Coworking Unconference Asia
――コワーキングをテーマにしたイベントを開かれるのですね。
西川 今回のイベント「アジアと日本のコワーキングの未来」では、もっとデジタルノマドに日本に来て、長期滞在してもらうにはどうしたらいいか、コワーキング、そして一歩進んだ「コリビング」(コワーキングと宿泊を合体させた施設)をメインテーマにアイデアを出し合い、つながろうというものです。
――具体的な内容を教えてください。
西川 ゲストスピーカーには、タイのタオ島で欧米人向けコワーキングスペースを運営して3年目のオガワトモエさん、東京・浅草でコリビングスペース「Chapter Two Tokyo」をオープンして1カ月になる上田拓明さんらが登壇し、外国人向けコワーキングスペース、コリビングスペースの運営ノウハウなどを共有します。また、世界のコワーキングカンファレンスの参加リポートも行います。インバウンドビジネスでデジタルノマドにリーチしたいと考える人は、ぜひのぞきにいらしてください!
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Coworking / Coliving in Japan & Asia
アジアと日本のコワーキングの未来
*日時:2018年4月18日(水) 18:30~21:00
*会場:コワーキングスペース茅場町 Co-Edo
https://www.facebook.com/events/1639871919454286/
*申し込み:本イベントは終了しました
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文・構成:アルクplus 編集部
写真:REGION