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ノーベル文学賞のカズオ・イシグロ、 そして、村上春樹。本棚の宝物になる1冊。

ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち

さほど親しくない間柄だったのに好きな映画や音楽、作家などの話で仲良くなってしまった。そんな経験はありませんか。いい作品に国境はありません。会話の流れを見計らって、初対面の相手や外国からのゲストとの会話の中でも、話題の作品や作家の話を織り込んでみると、距離が一歩縮まるかもしれません。

ご紹介する『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』は、今年度のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロをはじめ、村上春樹、ポール・オースターなど世界的な作家のインタビューが収録された1冊であり、英語教材でもあります。この書籍の編集者である白川雅敏(株式会社アルク)に話を聞きました。

翻訳家 柴田元幸が敬愛する現代作家たちを訪ね、「声」を聴き、そして、翻訳

『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』では、翻訳家でアメリカ文学研究者である柴田元幸氏が、9人の作家たちの創作の現場を訪れ、小説の作法などについてインタビューしています。柴田氏が翻訳を担当した、ポール・オースター、リチャード・パワーズ、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベック、T・R・ピアソン。その他にも、カズオ・イシグロ、アート・スピーゲルマン、シリ・ハストヴェット、そして、村上春樹など、柴田氏が敬愛する作家たちが登場します。英語インタビューは、柴田元幸氏みずからが編集し翻訳しました。村上春樹を除く作家たちの肉声は付属のCDに収録されています。インタビューページは、左ページが英文、右ページがそれを翻訳した日本語ページになっています。

ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち

「我々はみな執事である」――ノーベル文学賞受賞作家 カズオ・イシグロの“思想”に触れる

カズオ・イシグロのインタビューは、代表作『日の名残り』にちなんだ、「我々はみな執事である」という印象的なフレーズについての質問から始まります。『日の名残り』の主人公は執事のスティーヴンズ。彼は、第2次世界大戦時にナチスのファシズムに加担した、善意あふれる主人に執事として貢献しますが、主人が犯罪者となってしまったら、自分の行いも過ちとなってしまうのか? そう問いを立てます。イシグロは、“われわれ”をこのスティーヴンズになぞらえます。「私は自分の仕事を精一杯やろう、私の貢献をどう使うかは私の雇い主次第だ、ご主人が最良とお思いになる形で使ってくださればよいのだ」というのが、私たち一般の人間の姿勢なのではないか、と。普段は小説という方法で私たちに問いかけるイシグロですが、本書では、柴田元幸氏という最良の聞き手を得ることで、自分の声でこうした“思想”をわれわれ読者に語りかけています。インタビュー後半で、イシグロと柴田が盛り上がりを見せる、小説の伝統的ルールを破ることについて語る部分も聞き逃せません。

誕生に5年を要した“宝物”

本書は、“奇跡”で出来上がった宝物のような書籍だと思っています。雑誌『ENGLISH JOURNAL』に掲載するためだったとはいえ、構想から刊行まで実に5年の月日がかかっています。さらに、ノーベル賞級の作家が並ぶラインアップも宝物のように感じている理由です。インタビューは取材順に掲載されているのですが、最初の6人は雑誌掲載のためのアメリカ取材、そして、9.11をはさんで、つづく3人、カズオ・イシグロ、ポール・オースター、そして、村上春樹。イシグロのインタビューは、彼が2001年のハヤカワ国際フォーラムのために来日した際に行われたものです。

知性と感性を刺激する英語教材

作家たちの言葉に触れ、知性と感性を磨ける英語教材『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』は、文学ファンのみなさまにも、おすすめの1冊です。この本は、2004年3月26日にアルクから刊行されたものの、長らく入手困難になっていた、まさに“宝物”のような1冊です。カズオ・イシグロのノーベル文学賞の知らせを受け、2017年11月24日に、重版出来となりました。ぜひこの機会に、この本をあなたの“宝物入れ(本棚)”に収めてください。

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